電動小型モビリティの開発強化 デイトナ 2024年の新商品販売目指す

 デイトナ(森町)は二輪アフターパーツ用品以外の収益の柱となる新規事業の一環で、電動小型モビリティの開発を強化している。参入済みの電動アシスト自転車に加え、新たに時速20キロ未満の電動キックボードタイプの製品開発に着手した。法改正により、免許なし(16歳以上)の公道走行が可能になる2024年ごろをめどに、製品販売を目指す。

織田哲司社長
織田哲司社長


 試作段階中だが、23年の半ばにテスト販売を始める方針。同社は12年から電動アシスト自転車を展開し、現在は折り畳み機能とスタイリッシュなデザインが特徴の4種類を販売している。ただ、体力がなくバランスが取りにくい高齢者には手が出しにくい面がある。このため、開発中のモビリティは安定性の高い車体を重視し、若年層から免許を返納した高齢層まで幅広い世代に訴求する設計を進める。
 電動キックボードは大手なども製品開発を進めるが、電動アシスト自転車を折り畳み式にして違いを出したように「競合しない領域を狙う」(織田哲司社長)。
 デイトナは7月、Eモビリティ、キャンプなどのアウトドア用品、新エネルギー、リユース、耕運機など特殊機械の5分野をまとめた「新規事業部」を設立した。同社単体の売上高に占める割合はまだ7%だが、織田社長は「部として独立させて目標を明確化し、遅くとも28年までに25%に引き上げたい」と意気込む。

 ■織田哲司社長に聞く 「総合レジャー」幅広げる
 新型コロナウイルス禍の密を避ける消費者ニーズなどを背景に、創業50周年を迎えたデイトナの業績が伸長している。織田哲司社長に今後の経営戦略を聞いた。
 ―需要増の要因をどうみているか。
 「コロナ禍で二輪が移動手段、アウトドアの趣味として見直されたほか、リターンライダーとその子ども世代の需要も喚起した。8年後の2030年ごろまでは市場の安定が続くと想定している。毎年千点の新商品を発売し、残るのは約10分の1。その蓄積が現在の約1万2千点のラインアップにつながった。1980年代、90年代の商品も根強く売れている。コロナ禍で増加したウェブ購入者向けに、いち早くデジタル販促を強化し、需要を取り込めた」
 ―開発生産の特徴は。
「当社は生産設備を持たず、国内外200以上の企業に委託している。顧客ニーズの変化に即応し、タイムリーに商品化していくためだ。そのためにはアイデアこそが勝負だ」
 ―海外展開方針は。
 「人口約2億7千万人のインドネシアの子会社を軸に新興国を攻める。同国はジャワ島を中心に販路を刷新し、今季は特に成長が著しい。二輪先進地の欧州は競合が激しくて厳しいが、デイトナブランドの認知度は高まっている。単体の売上高に占める欧米の輸出比率を現在の約9%から徐々に増やしたい」
 ―今後の展望は。
 「22年から24年の中期経営計画で連結売上高目標を164億円と設定した。達成にはアフターパーツの既存事業を年に8%程度成長させた上で、M&A(企業の合併・買収)も必要と考える。28年までに200億円規模に成長させたい。新規事業も軌道に乗せて、将来は二輪アフターパーツのデイトナから、広義の『総合的なレジャー用品』を扱う企業を目指す」

 おだ・てつじ 1990年入社。国内事業部長、二輪事業部長などを経て2016年から現職。61歳。磐田市出身。

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