小山バス事故 制御不能1キロ以上「ジェイクブレーキ」利かず 運転手釈放、在宅捜査ヘ

 小山町須走の県道で観光バスが横転し乗客の女性1人が死亡、27人が重軽傷を負った事故で、制御不能に陥った状態のバスが走行した区間は1キロ以上に及ぶことが2日、関係者への取材で分かった。バスには「ジェイクブレーキ」という補助ブレーキシステムも搭載され、運転手が作動を試み続けたが、下り坂で加速する中、速度を抑制できなかったとみられる。

事故車両を調べる捜査員ら=10月18日午後、御殿場市
事故車両を調べる捜査員ら=10月18日午後、御殿場市

 静岡地検沼津支部は同日、自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで送検された運転手の男性(26)=埼玉県飯能市=を処分保留で釈放した。今後は在宅で捜査を続ける。
 バスは10月13日午前11時40分ごろ出発。約10分後、約5・5キロ先の右カーブを曲がりきれず、道路左側ののり面に乗り上げて横転した。関係者によると、出発後の数分は制限速度(時速30キロ)を保ったが、徐々に速度を増し、事故直前は約90キロまで加速していた。
 関係者によると、ジェイクブレーキは、エンジン内のシリンダーに閉じ込められた空気を排出して車両の速度を低下させる「圧縮開放ブレーキ」の一種。男性はサイドブレーキやエンジンブレーキに加え、この補助ブレーキも試みたが、フェード現象の発生とともに1分以上高速状態が続いたことなどから、いずれのブレーキも十分な効果を得られなかったとみられる。
 県警は同日、フェード現象が事故原因として考えられると説明した。ドラム式ブレーキシステムには焦げた跡や変色に加え、「ヒートクラック」と呼ばれるひび割れも多数あった。現段階で走行・制動装置の機構などに異常は見つかっていない。横転後、エンジンブレーキのシフトレバーはニュートラルの位置にあった。関係者によると、男性は中高速から低速のギアへ変更を試みたが、エンジンの回転数などが合わず、ニュートラル状態に陥った可能性がある。
 県警は2日時点の負傷者数について、重傷者が11人、軽傷者は16人に更新した。

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