⚽W杯日本代表に権田修一、伊藤洋輝 決意胸にカタールへ挑む
1日に発表されたサッカーワールドカップ(W杯)日本代表。伊藤洋輝(23)=シュツットガルト、浜松市出身、ジュビロ磐田ユース出=、権田修一(33)=清水エスパルス=の県勢2人が名を連ねた。初の夢舞台、念願のピッチ-。それぞれの思いも胸に、カタールでの決戦に挑む。
権田「先の景色みたい」 決勝トーナメント進出へ意欲
「その先に見える景色を見てみたい」。J1清水のGK権田はIAIスタジアム日本平で会見し、決勝トーナメント進出への意欲を高めた。

2014年のブラジル大会で代表入りしたが、オーバートレーニング症候群もあり18年のロシア大会はメンバー外。「今回名前を呼ばれるか不安だった」。1人になりたいと、代表発表の瞬間は静岡駅近くで店先の椅子に座って待った。
予選グループは強豪国ぞろいだが「あのグループを抜けたら日本サッカー界は盛り上がる。シュートを止める姿で子どもたちに『GKは格好いい』って思わせたい」とイメージを膨らませる。
ただ、清水は現在J2降格圏で最終節に望みをかける状態。「今考えているのは週末の札幌戦でチームを残留させること。もし13日にプレーオフを戦うことになれば、代表合流を遅らせるつもり」と強い決意で臨む。
チーム愛とともに静岡への愛着も持つ。「エスパの選手、静岡出身者が今後も続けて代表に選ばれていかないと。この街にはサッカー文化が根付き、大きなポテンシャルがある」。未来を切り開くため、日本の守護神は身をていしてゴールを守る覚悟を示した。(運動部・寺田拓馬)
伊藤、初の選出 向上心と情熱結実
初のA代表入りからわずか半年。伊藤は頭角を現すと、一気にW杯行きの切符をつかみ取った。貫いてきた向上心とサッカーへの情熱が新たな舞台への扉を開いた。

ジュビロ磐田の下部組織に所属していた中学時代から、世代別代表の常連。海外遠征を何度も経験し、視線はおのずと世界に向いた。
「20歳までに海外(クラブ)に行きたい」。磐田東高で2年間担任だった山本幸司教諭(46)は、若き決意を耳にしている。野球部顧問でもある山本教諭に体づくりのための栄養補給について助言を求める、熱心さが際立つ高校生だった。
高校時代の目標設定からは少し遅れたが、22歳となった昨夏に海を渡った。新天地のドイツ1部シュツットガルトでは指揮官に実力を買われ、すぐに定位置を確保。ただ、慢心はなかった。「新たな挑戦をしないと生き抜けない」と、1月から個人コーチを付けた。
毎週の試合にどう向き合い、自分を高めるか-。目的意識を明確にした日々を過ごし、チームに欠かせない戦力としてドイツ1年目を終えた。コーチを務める平林泰三さん(47)=埼玉県川越市=は「プロサッカー選手として活躍することにすごく重きを置いている」と評する。変わらぬひた向きな姿勢が、成長を促した。
海外移籍に次ぐステップには「W杯に出て、欧州チャンピオンズリーグに出て、ビッグクラブで活躍して、という三つが達成できれば」と思い描いていた。23歳の新鋭にはもうすぐ、一つ目の夢が待っている。(運動部・市川淳一朗)