JR社長「ボーリング調査は別」 静岡県内掘削工事巡り【一問一答付き】

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡り、JR東海の金子慎社長は名古屋市で開いた31日の定例記者会見で、大井川流域の利水者の理解を得ない場合は着工が難しいとしていた静岡県内区間の工事に関し、トンネル掘削と、先行して行う高速長尺先進ボーリング調査は「別で考えるべき」との認識を示した。同社は同日午前の県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、山梨県側から静岡県境を越えた同ボーリング調査を今後実施したいとの意向を示した。
 県専門部会では、委員と県が「静岡県内の水の流出対策が不十分」などと県境を越えた同ボーリング調査の実施に反発した。金子氏は「(地質やトンネル湧水の状況など)先々の様子を把握し、判断していきたい」と同ボーリング調査の重要性を強調。県専門部会での議論は把握していないとした上で、懸念に対しては「今後(県と)相談することになると思う」と述べた。
 静岡県内のトンネル掘削に関しては「了解を得てやろうと思っている」と従来の認識を改めて示した。
 山梨工区の湧水が発生した場合の静岡県への報告などの対応は「(県は)湧水の状態を心配されている。お知らせすることを調整していきたい」とした。
 

ボーリング「また今度相談」 金子慎JR東海社長 一問一答 

 

 31日に名古屋市で行われた金子慎JR東海社長の定例記者会見での主なやりとりは次の通り。
 ―同日の県専門部会で、高速長尺先進ボーリングで県境を貫き調査したい考えを示し、委員や県が反発した。どのような合意形成が必要か。
 「先々の様子がより把握できる高速長尺先進ボーリングをして(工事の対応を)判断していきたい。議論の経過は詳しく承知していないが、『静岡県内から水が出た時はどうなんだ』という話があったようだ。それは、また今後相談することになると思う」
 ―ボーリング調査は、工事と同義ではないのか。
 「トンネル掘削とボーリングは別で考えるべきだ。ボーリングをやるからこそ、地質の状態が把握できる。県境を越えてのトンネル掘削は了解を得てやろうと思う」
 ―高速長尺先進ボーリング調査で湧水が確認された場合、関係自治体に連絡する考えはあるか。
 「静岡県については問い合わせに応じ、工事の進捗(しんちょく)をお知らせしてきた。湧水の状態は心配されているので、お知らせすることを調整したい」
 ―東海道新幹線の静岡空港新駅整備構想に関し「難しい」としているが、リニア中央新幹線開業後も同様の考えか。
 「開業後、静岡県にメリットを実感していただける便利なダイヤができないかは検討している。駅ができると(新駅利用客以外は)余計に時間がかかり、デメリットになる。空港新駅の設置は、新幹線のスピードを制約し、ダイヤ編成が難しくなるので難しい」
 ―川勝平太知事が11月2日にリニア開発現場を視察する。会談の予定は。
 「私が案内するつもりだ。個別の2人での会談は予定していない。リニアの素晴らしさを体感してもらうことが重要だ」

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