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中部未来懇シンポ SDGs、中小企業の対応は 浸透へ議論

 中部未来懇話会が31日に静岡市内で開いたシンポジウムは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の静岡県内中小企業対応をテーマにパネル討論を行った。SDGsを取り入れた企業経営を進める中小3社のトップが、自社の導入効果を示しつつ、地域企業への普及に向けた課題を話し合った。

地域企業でのSDGs対応の現状と課題を討議したパネリストら=31日午後、静岡市葵区
地域企業でのSDGs対応の現状と課題を討議したパネリストら=31日午後、静岡市葵区

 平野ビニール工業(磐田市)の平野利直社長は、2021年に金融機関からSDGs支援型融資を受けたことを契機に、環境省の温室効果ガス削減支援事業に採択された経緯を紹介した。「自社事業の地球環境への影響や、外国人を含めた従業員雇用の在り方を見つめ直すことができた」と振り返った。
 SDGs対応の茶商品を開発した大井川茶園(焼津市)の雪嶋直通会長兼社長は、企業価値向上と社会課題解決の両立を目指す米国発のCSV(共通価値の創造)の概念に着目。「賃上げにつなげるためにも、自社のブランド価値を高めて適正な価格を維持し、安値競争に陥らない経営を進めることが大切」と強調した。
 大昭和加工紙業(富士市)の田中博邦社長は、外国産木材の代替材として、植物由来素材のCNF(セルロースナノファイバー)を使った高強度板紙を開発した実績を示し、「ゼロから作るのではなく、SDGsの観点で既存の物に1を加えればイノベーションになる」と語った。
 コーディネーターを務めた三井住友海上火災保険の五十嵐朋人経営リスクアドバイザーは「(1980年代以降に生まれた)ミレニアル世代はSDGsへの対応を当然のことと捉えている」と述べ、人材確保の観点からもSDGs導入は不可欠だと指摘した。

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