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静岡市、要支援者の被災把握進まず 災害関連死に懸念「寄り添った支援を」 台風15号1カ月

 台風15号による被災から23日で1カ月が経過したが、3800件超が床上浸水した静岡市では高齢者、障害者世帯といった要支援者や生活困窮世帯について、行政による被災状況の実態と支援ニーズの把握が進んでいない。関係者は健康悪化による災害関連死の危険性を懸念する声もあり、被災者個々の悩みや生活課題に寄り添った支援が求められる。

ボランティアに不安を相談する女性(左手前)。ぬれた畳は撤去したが床板はむき出しで片付いていない部屋もある=23日午後、静岡市清水区
ボランティアに不安を相談する女性(左手前)。ぬれた畳は撤去したが床板はむき出しで片付いていない部屋もある=23日午後、静岡市清水区


 「この先、何とか生活していければいいけれど」。1人暮らしの60代の女性=同市清水区=は23日、畳を剝がして床板がむき出しなった部屋を見て不安を口にした。自宅1階は床上80センチの高さまで浸水。給湯器は壊れ、他の部屋も片付いていない。ボランティア団体の支援で約1週間前に段ボールベッドが設置され、ようやく横になって休めるようになった。ただ、先の生活が不安で眠りは浅いという。
 地元自治会と協力して被災者と面会を続ける介護福祉士宮崎節子さん(70)=同区柏尾=も心配を募らせる。聞き取りをした中には浸水で傷んだ床にベニヤ板を敷き、段ボールベッドを置いただけの部屋で認知症の配偶者を介護する高齢者世帯もある。宮崎さんは「被災者の中には『助けて』と言えない人もいる」と訴える。
 今回の災害で支援活動に携わる渡嘉敷唯之さん(45)=同区押切=によると、故障した暖房器具の買い替えができない困窮世帯もいる。「心身の悪化に拍車がかかり、災害関連死につながりかねない」とし、健康管理や心理ケアを含めた支援の必要性を訴える。
 自治会の未加入者や要支援者名簿に載っていない人もいるため、被災者は氷山の一角の可能性もある。県ボランティア協会の鳥羽茂事務局長は「実態の全容を把握できていないことが最大の課題。支援から漏れてしまう人が出てくる」と指摘。民間だけでは対応しきれない課題があり、行政や関係団体が持つ情報を集約し、必要な支援につなげる体制の整備を急ぐよう求める。
 市は18日、地域包括支援センターなど関係団体に再調査を依頼。市福祉総務課の西島弘道課長は「応急仮設住宅の入居者を対象とした見守りや、状況を踏まえた支援策を検討する」としている。

 災害関連死 土砂災害や地震による家屋倒壊など災害そのものに起因する「直接死」ではなく、災害でけがや病気が悪化したり、避難生活に伴う心身の負担増で病気を発症したりすることなどを原因とした死亡。疲労の蓄積による心不全やエコノミークラス症候群などで亡くなるケースがある。2016年の熊本地震では死者273人のうち、218人が災害関連死だった。

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