静岡新聞「残土の闇」に新聞協会賞 取材班代表が受賞スピーチ「疑問晴らすことが地方紙の使命」

 山梨県富士吉田市で18日に開かれた第75回新聞大会(日本新聞協会主催)で、熱海土石流を巡るキャンペーン連載「残土の闇 警告・伊豆山」と一連の報道で本年度の新聞協会賞を受賞した本紙取材班代表の豊竹喬熱海支局長が受賞スピーチに臨んだ。「不適切な盛り土が引き起こす人災をなくすために、伊豆山の悲劇を忘れてほしくない。連載を機に全国にその思いと行動の輪がさらに広がってくれれば」と願った。

新聞協会賞を受賞した取材班代表の豊竹喬熱海支局長(左)=18日午前、山梨県富士吉田市
新聞協会賞を受賞した取材班代表の豊竹喬熱海支局長(左)=18日午前、山梨県富士吉田市

 新聞協会の丸山昌宏会長から賞状とメダルを贈られた豊竹支局長はスピーチで「なぜ悲劇が起きてしまったのか、なぜ悲劇の芽を摘むことができなかったのか。その疑問を晴らすことが地方紙の使命であり、全国で同様の被害を繰り返さない一助になると思って取材を続けてきた」と関わった記者たちの思いを代弁。「熱海土石流を教訓に危険な盛り土を規制する新たな法律はできたが、悪質な残土ビジネスを撲滅するにはまだ多くの課題がある」と強調した。
 静岡新聞社は2021年7月3日に起きた熱海土石流に関し、取材班を組織して伊豆山に土砂が盛られた経緯の検証や遺族の思いを全36回の連載で展開したほか、発災直後から計60人を超す記者を交代で現地に送り、連載の基礎にもなった多角的な取材を重ねた。
 新聞協会は授賞理由を「地元紙が総力を挙げて災害の原因を究明し、各地に潜む同様の危険性に警鐘を鳴らした企画報道として高く評価される」とした。
 本年度の新聞協会賞は49社97件の応募があり、6件が受賞した。

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