横須賀・池新田高再編「一度白紙に」 池上県教育長、撤回を表明

 静岡県立高の第3次長期計画を再検討するため、県教委が新たに設置した小笠地区地域協議会の初会合が18日、菊川市の県立小笠高で開かれた。小笠地区はこれまで、同計画に基づく横須賀高(掛川市)と池新田高(御前崎市)の再編協議が難航していて、池上重弘県教育長は「一度白紙に戻して在り方を考えたい」と再編案の撤回を表明した。掛川、御前崎、菊川各市の市長や教育長、PTA、地元商工会の代表らが集まり、地区内の県立高6校の現状や地域人材育成への期待について意見を寄せた。

小笠地区の県立高の在り方について意見交換した地域協議会の初会合=18日午後、菊川市の県立小笠高
小笠地区の県立高の在り方について意見交換した地域協議会の初会合=18日午後、菊川市の県立小笠高

 会合後、池上教育長は、有識者らによる「県立高の在り方検討委員会」が本年度中に同計画の見直しに関する基本方針を策定することを踏まえ、各地区の具体的な再編の方向性について「1年ぐらいをめどに新たな案を示したい」と述べた。
 会合では久保田崇・掛川市長が撤回を歓迎し「再編が必要なのは理解するが、子どもの選択肢を奪ってはならない」と指摘した。一方、柳沢重夫・御前崎市長は「議論は結構だが、地元では(再編案判明から)約5年間、将来を見据えた協議を既にしてきた」と方針転換への戸惑いも口にした。
 堀内健丞・掛川市立北中PTA会長は「通学距離が延びると安全面の心配が増える。交通費が負担になる世帯もある」と通学の負荷も考慮して学校を選択できることが望ましいとした。河原崎全・御前崎市教育長は「生徒には教科や進路指導の充実、部活動の選択肢や新たな友人との出会いなど、世界の広がりが重要」と適正規模の意義を強調した。菊川市PTA連絡協議会の粕谷友一会長は「令和時代の小中高生のニーズを確かめる必要がある」と提案した。

 ■地元2団体 意見の隔たり浮き彫り
 菊川市内で18日に開かれた小笠地区の地域協議会では、横須賀高と池新田高の統合に反対する南遠地域教育環境整備推進協議会(掛川市)の水野幸雄会長(84)と、御前崎市への新構想校誘致を目指す、おまえざき教育振興協議会の後藤憲志会長(75)が委員として議論に加わった。水野会長が再編の枠組みの白紙撤回を歓迎する一方、後藤会長は「横須賀と池新田の2校が小規模化して存続が危ぶまれる」と指摘し、意見の隔たりが浮き彫りになった。
 南遠地域教育環境整備推進協議会の前身は、住民有志が設立した横須賀高校を守る会。水野会長は「今までの要望活動が認められた」と安堵(あんど)した。今後の方向性については「掛川と御前崎の2市の枠組みではなく、袋井や磐田などを含めた広域で考えてほしい」と期待した。
 一方、後藤会長は「会議中に県教委側から『新構想校』という言葉は出てこなかった。もうなくなったのだろうか」と首をかしげた。「中学生に支持される魅力ある高校をつくってほしい」と改めて求めた。

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