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焼津カツオ窃盗、漁協元職員ら有罪 静岡地裁、5人に判決

 焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件を巡り、窃盗の罪に問われた焼津漁業協同組合の元職員の男(41)=同市東小川2丁目=ら5被告の判決公判で、静岡地裁は17日、いずれも有罪判決を言い渡した。市内の水産加工会社の元社長の男(61)=同市大村新田=は共謀の成立を否定し無罪を主張していたが、地裁は「共謀を認定できる」と判断した。

静岡地裁
静岡地裁

 

「常習的、罪の意識まひ」

 

 地裁は両被告と、焼津市内の水産加工会社の元役員の男(48)=藤枝市藤枝4丁目=に懲役3年、執行猶予3年(いずれも求刑懲役3年)を、焼津市の運送会社の運転手だった男(48)=同市本中根=、男(44)=同市田尻北=には懲役2年、執行猶予3年(ともに求刑懲役2年6月)を言い渡した。
 判決理由で国井恒志裁判長は「漁港の仕組みと立場を悪用し、役割を分担して行われた組織的かつ常習的な犯行の一環」と批判。焼津漁港でカツオの窃盗行為が以前から行われてきたことを指摘した上で「あしき風習に染まって罪の意識をまひさせた」と強調した。
 焼津市内の水産加工会社の元社長(61)=同市大村新田=については、報酬を渡していたことなどを踏まえ「窃盗を遂行する意思をもって共犯者と順次、共謀した」と結論付けた。
 判決によると、5被告は共謀の上、2021年2月8日に焼津市の焼津漁港魚市場で、水揚げされた冷凍カツオ約4・5トン(時価計約105万円相当)を計量せず、トラックに積み込む方法で盗み出すなどした。
 

「魚を捕る方へのリスペクト ないのか」 裁判長問いかけ

 

 「素朴な疑問なのですが、皆さんは魚を捕る方へのリスペクトや感謝の気持ちはないのでしょうか」―。国井裁判長は判決宣告後、5被告に問いかけた。
 国井裁判長は「感謝の気持ちを持っていれば、どこかで荷抜きは終わっていたと思う」と続け、「私の疑問への答えは皆さんがそれぞれ考えて」とした。
 被害に遭った焼津市の船会社の会長は判決公判終了後、報道陣の取材に「裁判所が『魚を捕る人間へのリスペクトがない結果の犯行だ』と判断してくれ、安堵(あんど)した」と受け止めを語った。
 一方、焼津漁港のカツオ窃盗を巡っては、第2、第3のルートも浮上した。青木会長は「(手口は)全部同じスキーム。(犯罪で)利益を得た人に反省してもらえるよう究明してほしい」と求めた。

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