ウクライナ避難者に職を 静岡の支援団体、企業とマッチング

 ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナからの避難者を支援する団体「ウクライナ希望のつばさSHIZUOKA」が発足して、半年を迎えた。同団体によると、静岡県内には8世帯32人が身を寄せる。戦闘の長期化を受け、就労希望者は日本での生活を見据えていて、同団体は企業とのマッチングに乗り出した。

就労先を探しているウクライナからの避難者の男性(手前左)と面談し、来日前の職歴などを質問する小野田全宏共同代表=県東部
就労先を探しているウクライナからの避難者の男性(手前左)と面談し、来日前の職歴などを質問する小野田全宏共同代表=県東部

 9月下旬、静岡県東部で、40代の男性避難者と同団体の面談が行われた。男性は侵攻時ポーランドで働いていた。ウクライナが18~60歳の男性の出国を禁止する総動員令の対象にならず、県内に住む妹を頼って来日したばかりだ。
 当初、自力で就職先を探したが、「作業の説明ができない」と断られた。内定を目指して日本語を学び始めた男性は「修了したらすぐに働きたい」と意欲的。ただ、団体との面談では「勤務先の近くに住まなければいけなくなる。働き場所は県中部くらいまで視野に入っているか」と質問され、男性はうなずいたものの、妹が「遠い」と心配する場面もみられた。
 避難者は母子や高齢者が多いが、男性も複数いて、県内の血縁者を頼って来静した人が多い。母国の和平の見通しが立たず、20~40代の男性を中心に「働きたい」という強い声が寄せられるようになっている。
 あっせん1例目として9月、20代男性が県中部の工場に就職した。ほかにも農業法人や美容院などの経営者が受け入れを表明しているが、避難者の通勤手段が徒歩や自転車に限られたり、日本での生活が本人にとって想定外で言語の習得が不十分だったりと、マッチングは容易ではない。
 高橋邦典共同代表(県社会福祉協議会常務理事)は「生活苦を訴えようとせず、何度も尋ねてようやく打ち明ける人が多い。不安に寄り添えるよう、体制を整えたい」と話す。小野田全宏共同代表(県ボランティア協会理事長)は「(働き場所の)選択肢を増やす必要がある」と協力企業を募っている。

 <メモ>「ウクライナ希望のつばさSHIZUOKA」は、高橋氏、小野田氏と藤原東演サールナートホール館長、馬場利子プラムフィールド代表の4人を共同代表として4月1日に発足した。市民からの浄財560万円や物資の寄付を元に生活支援に取り組む。必要な物資を避難者に尋ねる調査を始めたほか、県中部で2回目の交流会を実施するよう準備を進めている。

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