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不思議でかわいい♡ 岳鉄“異世界”旅 高校生がSNS発信、話題に

 富士市の岳南電車(通称・岳鉄)を舞台にした写真や動画をSNSで発信する「おさんぽがくでんプロジェクト」が、市内の高校生らによって動き始めた。車両の形をしたミニチュアアートを、女子高生がペットのように連れて歩く不思議な映像が話題だ。岳鉄や富士商工会議所が撮影に全面的に協力し、沿線周辺の着地型観光の盛り上げに期待が高まっている。

動物のマスクをかぶって撮影する生徒たち。紙製のミニチュア車両「おさがくちゃん」を散歩させている=9月中旬、富士市の岳鉄本吉原駅
動物のマスクをかぶって撮影する生徒たち。紙製のミニチュア車両「おさがくちゃん」を散歩させている=9月中旬、富士市の岳鉄本吉原駅

 プロジェクトの中心になっているのは富士市立高3年の椎木菜央さん。岳鉄の利用者が年々減少し、経営が苦境に立たされていると知って発案した。通学に欠かせない地域の財産としての魅力を広めようと「岳鉄の推し活」として企画を練った。「赤くてかわいい電車」(椎木さん)の認知度を高め、撮影などで富士を訪れる人を増やすなど、新たなコミュニケーション空間の創出を狙う。
 ミニチュアアート「おさがくちゃん」は、実際の車両から生まれた子どもという設定で、富士の造形作家あしざわまさひとさんが提供した。全長約70センチの紙製で、のどかな散歩の情景に結びつくよう、車輪とリードが取り付けてある。
 椎木さんは同級生とあしざわさんと共に、8月末から駅舎や車内で撮影を開始。9月中旬の撮影では、乗客にあしざわさんの動物作品を紛れ込ませたり、生徒が動物のマスクをかぶったりと、SNSで注目される場面づくりに工夫を凝らした。
 作品は、おさがくちゃんのかわいらしさに加え、ローカル電車、女子高生、異形アートが交じり合って目を引く。動画投稿アプリTikTok(ティックトック)には再生回数が100万回に迫る投稿もある。
 岳鉄を市内の景色の一部ととらえた発信に橘田[きった]昭社長は「不思議な世界は電車に興味が薄い若者世代に刺さり、沿線観光が盛り上がるのでは。高校生の活動に全面協力する」と期待を寄せる。椎木さんは「岳鉄を媒介に地元の魅力を多くの人に届けたい」と思いを込める。

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