残存盛り土 静岡県が代執行開始、2023年5月末までに撤去 熱海土石流

 静岡県は11日、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点付近で不安定な状態で残っている盛り土を撤去する行政代執行を開始した。土石流発生から1年3カ月余り。被災地の安全を確保する上で最大の懸案がようやく動きだす。県は来年5月末までに撤去完了を目指す。

盛り土撤去に向け県による行政代執行が始まった土石流の起点付近=11日午前10時半ごろ、熱海市伊豆山(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
盛り土撤去に向け県による行政代執行が始まった土石流の起点付近=11日午前10時半ごろ、熱海市伊豆山(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
行政代執行の開始を宣言する難波喬司理事(中央)=11日午前10時20分ごろ、熱海市伊豆山
行政代執行の開始を宣言する難波喬司理事(中央)=11日午前10時20分ごろ、熱海市伊豆山
盛り土撤去に向け県による行政代執行が始まった土石流の起点付近=11日午前10時半ごろ、熱海市伊豆山(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
行政代執行の開始を宣言する難波喬司理事(中央)=11日午前10時20分ごろ、熱海市伊豆山


 県によると、撤去する盛り土は約1万6千立方メートル。工事費用は、土砂の撤去や仮置き場への運搬といった本年度分だけで4億円を見込む。処分費を含んだ総額は未定で、土砂に有害物質が含まれていた場合は費用が大きく膨らむ可能性がある。県は全体の費用が確定した後に、2011年まで起点を含む土地を所有した不動産管理会社「新幹線ビルディング」(神奈川県小田原市)に請求する。
 午前10時20分ごろ、起点付近に設けられた門扉の前で県の難波喬司理事が行政代執行の開始を宣言し、作業員が土砂撤去に向けて周辺の草刈りを始めた。今後、土砂搬出用の仮設道路を設け、撤去作業は12月ごろに始まる見通し。
 起点付近の盛り土を巡っては、県が8月1日、同社に対し、7月施行の県盛り土規制条例に基づき撤去を求める措置命令を出した。しかし同社は盛り土行為をしていないとして応じず、静岡地裁に措置命令の取り消しを求める訴訟を提起した。難波理事は「残っている土砂を一日も早く撤去し、避難者が元の場所に帰れるよう安全を確保するのがわれわれの使命」とした上で、同社の提訴については「会社側の考えであり、それとは関係なく代執行は進める」と述べた。
 土石流が流れ下った被災地は今も、立ち入りが規制されている警戒区域になっている。市は行政代執行の完了や国が建設している新砂防ダムの完成などを条件に、来夏までに規制を解除する方針。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞