大自在(10月9日)おじさん構文

 スマホのチャットなどで中高年から送られてくる文章を、若者は「おじさん構文」と呼ぶらしい。自分たちの世代のやり取りとは違い、文が長いことや片仮名、絵文字の多用などの特徴をまねて面白がることもあるという。
 「○○チャン やっほー・/…/仕事忙しくて、/ランチもとる時間がないカナ?・…」。NHKのウェブサイトのリポートに、部下宛てを想定した例文があった。本欄への引用に当たり、改行を/、絵文字を・、自分語りなど割愛部分を…で表記した。
 対面の会話と違う文面に、若者は引いてしまうようだ。世代ギャップについて、リポートで専門家は「文章に親しんだ環境の違い」と解説した。ビジネスメールに慣れ親しんだ中高年に対し、若者は相づち感覚でパンパンと送り合って言語表現に親しんでいく。
 スマホ画面やキーボードから入力する「打ち言葉」の存在感が増している。文化庁の国語に関する世論調査で、スマホなどの普及によって言葉や言葉の使い方が「影響を受けると思う」とした回答は9割を超えた。
 おじさん構文は読点「、」が多いのも特徴とされる。句読点は言文一致運動の一環で打つようになったが、打ち方に決まりはない。「ここではきものをぬいでください」の履物か着物かを持ちだすまでもなく、正確に易しく伝わるように、リズム感を出すためにも、効果的に使いたい。
 若者言葉や打ち言葉のコミュニケーションに、神経質になり過ぎなくていい。使われながら変化するから言葉は面白い。ただ、親しき仲にも礼儀ありカナ。

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