台風15号・天竜の崩落地 残土投棄、土地所有者が依頼か 意図的盛り土の可能性

 台風15号で住宅3棟が被災、3人が負傷した浜松市天竜区緑恵台の土砂崩落で、原因と疑われる盛り土があったとみられる土地の所有者が、自らの土地に建設残土などを投棄するよう複数の業者に持ちかけていたことが3日、関係者への取材で分かった。所有者が関与する形で建設残土などが意図的に投棄され、盛り土状になった可能性がある。市は土砂搬入の詳細な経緯や目的について調べている。

長年土砂が投棄されていたとの証言がある現場には現在、「ごみ捨て禁止」の警告看板が掲げられている=3日午後、浜松市天竜区緑恵台
長年土砂が投棄されていたとの証言がある現場には現在、「ごみ捨て禁止」の警告看板が掲げられている=3日午後、浜松市天竜区緑恵台

 同市内の土木業者によると、数年前に土地所有者が市内の施工現場を訪れ、「この土をうちの土地にタダで捨てていいので、運んでくれないか」と持ちかけられたという。業者は所有者と共に土地を確認したが、盛り土に適さない急勾配であったことなどを理由に申し出を断ったという。同社幹部は「所有者は、県中部の業者が4トントラックで土を運んでいると言っていた。こんなやり方だと災害が起きると警告したが、聞く耳を持たなかった」と語る。
 現場付近の住民からは、10年ほど前から現場への土砂投棄が行われていたとの証言が複数出ている。地元の男性(77)は「上から土砂を入れて、たまに地ならしする感じ。数年前には週に2回は見た。崩落は起こるべくして起こった」と話す。
 周辺住民によると、土砂が投棄されていたとみられる土地の入り口には1カ月ほど前まで「残土捨て場」などと書かれた手書きの看板が掲げられていた。現在は「ごみ捨て禁止」と記された市と警察の警告看板に変わっている。
 所有者は高齢で体調面に問題があり、市の事情聴取は困難な状況にあるという。市は実態解明を目指し、土砂を運んでいた業者に関する情報収集も続けている。

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