東北の実家被災 富士宮の高野さん「恩返し」 台風被害、清水復興の力に

 富士宮市の主婦高野ゆかさん(34)ら有志が、台風15号の影響による浸水や断水の被害を受ける静岡市清水区で無償の炊き出しを行っている。3日には被害が大きかった同区渋川で豚汁やおにぎりを150食提供した。高野さんは東日本大震災で宮城県山元町の実家が被災。「清水の人に助けてもらった恩返しがしたい」との一心で支援に奔走している。

手作りの豚汁を振る舞う高野さん=静岡市清水区渋川
手作りの豚汁を振る舞う高野さん=静岡市清水区渋川


 9月29日から、車いっぱいに日用品などの物資を積み同区の友人宅周辺で配り回った。手料理が喜ばれ炊き出しを決意し、渋川北自治会に豚汁の提供を申し出た。
 活動をインスタグラムで告知すると、友人らから食材の提供や調理の手伝いなど支援が集まった。炊き出し会場には豚汁やおにぎりの他に果物や総菜が並び、子ども用衣類や洗剤などの日用品も無償で振る舞った。
 自治会を通して活動を知った住民で行列ができ、用意した食事は1時間半で配り終わった。配布開始を待ちわびていた女性は「この1週間レトルト食品ばかり食べていた。栄養たっぷりでありがたい」と、温かい食事をかみしめた。
 東日本大震災の発生直後、富士宮に住んでいた高野さんは被災した実家に戻って復興を手伝った。清水区の住民から支援を受けた思い出があり、台風被害に「いてもたってもいられず」活動に向かった。
 次回の食事提供は6日を予定し、高野さんらが活動場所を探している。高野さんは「今後も形を変えながら、少しでも住民が気を休められる機会をつくれたら」と話した。
 (富士支局・国本啓志郎)

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