川根路観光、紅葉前に痛手 大鉄運休/名所遊歩道崩落 台風15号被害

 台風15号の爪痕が大井川流域の観光業に影を落としている。大井川鉄道神尾-福用間などの線路に土砂が流入した影響で、同鉄道は2日現在、全線が運休している。復旧の見通しは立たず、本線終点の千頭駅(川根本町)は週末も閑散とした状況が続く。同町の観光名所「夢のつり橋」に続く道も崩落し、寸又峡温泉の集客に影響が出始めた。観光事業者からは「紅葉シーズンを前に大きな痛手だ」と悲痛な声が上がる。

夢のつり橋(奥)に続く道が崩落した現場(川根本町提供)
夢のつり橋(奥)に続く道が崩落した現場(川根本町提供)
水に濁りが見られる夢のつり橋周辺=1日午後、川根本町寸又峡
水に濁りが見られる夢のつり橋周辺=1日午後、川根本町寸又峡
遊歩道の途中に設置された「通行止め」の看板=1日午後、川根本町寸又峡
遊歩道の途中に設置された「通行止め」の看板=1日午後、川根本町寸又峡
夢のつり橋(奥)に続く道が崩落した現場(川根本町提供)
水に濁りが見られる夢のつり橋周辺=1日午後、川根本町寸又峡
遊歩道の途中に設置された「通行止め」の看板=1日午後、川根本町寸又峡

 寸又峡温泉街から夢のつり橋につながる遊歩道。橋の目の前の箇所が崩落し、つり橋は遊歩道から眺めることしかできない。温泉街はつり橋目当てに訪れる客が多く、旅館を営む50代女性は「通行止めが影響して集客に陰りが見える」とこぼす。
 温泉街周辺は11月にかけて紅葉が見頃を迎える。観光事業者にとって書き入れ時だが、旅館「翠紅苑」は8~10日の3連休の予約件数が連日1桁台、11月末までの予約もキャンセルが相次いだ。同館の望月孝之さん(76)は「10、11月の収益は年間の30%以上。このままでは例年の半分以下になる」と厳しい表情を見せる。
 寸又峡温泉では源泉や宿泊施設に大きな被害はなく、全施設が営業を続けている。望月さんは「泉質に問題はない。温泉街一体となってお客さまを迎え入れる準備はできている」と力を込めた。
 発災から2週目を迎えた千頭駅。例年、この時期は家族連れらでにぎわうが、この週末は昼時も人出はまばら。駅前で運営する「カフェうえまる」店長の山本敦子さん(41)は「鉄道が動かない限り集客は大変かな…」と言葉少な。通常の週末は満車の駅前駐車場も空きが目立った。
 少しでもにぎわいを取り戻そうと、同町まちづくり観光協会は台風の影響で延期した同駅前でのイベントを8日から実施すると決め、準備に奔走する。国内外メーカーのオートバイを展示する予定で、同協会の戸塚崇さん(51)は「道路状況は改善しつつある。イベントで少しでも地域を元気づけたい」と話した。

 

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