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社説(10月3日)東部伊豆観光再生 留学生の知恵を生かせ

 静岡県東部・伊豆の市町や観光、商工団体で構成する静岡県東部地域コンベンションビューローは中国や台湾、香港、ベトナムなどアジア諸国のファン開拓に向け、県内留学生らの体験旅行に力を入れている。若者に名所旧跡や観光施設を回ってもらい、率直な感想を聞く。新型コロナウイルスの水際対策緩和をにらんだ外国人受け入れの戦略策定に生かす。
 母国の家族や知人とつながる若者を引き込むことで、旅行サイトやパンフレットでは伝わらない魅力をSNSで母国に情報発信するインフルエンサーの役割を期待している。直近のツアーは中国とベトナム、マレーシア、インドネシアの約10人で実施した。体験型の動物園が好評で、名所の歴史的背景を詳しく紹介するなど「本物とこだわり」が大切との指摘があった。県内には多くの国々の留学生がいる。年齢や国・地域など体験旅行の対象を広げて調査を継続したい。
 政府は10月11日から、個人旅行客の入国を解禁し、新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和する方針を明らかにした。新型コロナ禍で打撃を受けている東部・伊豆の観光業再生には、インバウンド(訪日外国人)の需要が欠かせない。外国人に人気の富士山と温泉に、留学生の知恵と感性で見いだした新たな魅力を加え、狙いを絞って情報発信していきたい。定番になってきたワンランク上の高級宿泊施設や外国人に根強い人気のアニメの聖地巡礼などを前面に出しつつ、多様な付加価値をPRすることが大切だ。
 東部・伊豆では大規模イベントが続く。海の幸の逸品を紹介するSea(シー)級グルメ全国大会(2023年10月、沼津港)、エネルギー問題をテーマに関係者が意見交換する太陽光発電国際会議(24年秋、沼津市)、聴覚障害者の国際総合スポーツ大会「デフリンピック」(25年、伊豆市)などでいずれも数千~数万人の来訪を見込む。
 モニターツアーでは、日本人には目新しさがなくても外国人には魅力と映る地域資源があることが分かってきた。外国人の率直な意見を聞くことで、埋もれた観光資源の再発見や観光需要のトレンドが確認できれば戦略の再構築に役立つ。国内旅行の活性化にもつながるだろう。
 ビューローは、取り組みの成果と課題を、全県の関係機関と情報共有してほしい。各地の自治体や組織が地元で生活する留学生に県内観光地や旅の良さを満喫してもらい、意見を聞く取り組みを観光振興の重要な投資としていきたい。

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