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南海トラフ地震想定 静岡など4県で医療活動訓練 広域搬送の流れ、DMAT確認 静岡空港に拠点開設

 南海トラフ巨大地震の発生を想定した医療活動訓練が1日、静岡県など4県(ほかに愛知、三重、和歌山の各県)で行われた。全国から約1600人の災害派遣医療チーム(DMAT)が4県に参集。静岡県DMATは約250人が参加し重症者の広域搬送の手順や災害拠点病院、関係機関との連携体制を確認した。2021年度に県が指定した災害拠点精神科病院も初めて訓練に参加した。

陸上自衛隊ヘリに担架を収容する訓練参加者=1日午後0時45分ごろ、牧之原市の静岡空港
陸上自衛隊ヘリに担架を収容する訓練参加者=1日午後0時45分ごろ、牧之原市の静岡空港
西部方面調整本部から入った要請に応じて対応を整理する職員=1日午後、浜松市中区の神経科浜松病院
西部方面調整本部から入った要請に応じて対応を整理する職員=1日午後、浜松市中区の神経科浜松病院
陸上自衛隊ヘリに担架を収容する訓練参加者=1日午後0時45分ごろ、牧之原市の静岡空港
西部方面調整本部から入った要請に応じて対応を整理する職員=1日午後、浜松市中区の神経科浜松病院

 マグニチュード9クラスの地震が発生した約24時間後を想定。県庁のDMAT調整本部は、県の医療救護班や県内4カ所に設置した方面調整本部など関係機関と被災状況などを共有した。県外DMATの活動場所について、各地域への分配人数を調整した。
 静岡空港(牧之原市)では、傷病者を県外へ空路で救急搬送するための「航空搬送拠点臨時医療施設」(SCU)を開設。九州や北陸地方から約50人の医師や看護師が集まり、患者を約1時間半かけて富山県内に搬送する流れを実践した。医師らは被災者に見立てた人形でトリアージ(傷病者の治療優先度判定)を行った後、応急処置を施してカルテを作成し、陸上自衛隊のヘリに担架を収容した。
 SCUは傷病者が長時間の航空搬送に耐えられるように充実した初期診療が求められるため、CTなどを搭載した災害車両や移動式の診療コンテナも配備し、実用性などを検証した。
 SCUの診療リーダーを務めた県立総合病院の吉岡良造医師は「初対面の医療関係者が集まるSCUは情報共有の不手際が生じやすい。訓練を重ねて対応力を向上させていく必要がある」と述べた。県庁DMAT調整本部の登坂直規本部長(同病院医師)は「大災害でも十分な対応ができるように県内のDMATを増やすことも必要だ」と指摘した。

 ■精神科患者の受け入れ調整 神経科浜松病院
 静岡県などで1日に行われた南海トラフ巨大地震の発生を想定した医療活動訓練で、災害拠点精神科病院の神経科浜松病院では、被災した県西部の病院からの精神科患者の受け入れに初めて取り組んだ。
 県中遠総合庁舎に開設された災害派遣精神医療チーム(DPAT)西部方面調整本部から同院に、措置入院が必要な患者1人の転院要請が入り、立て続けに転院と一時避難計103人の受け入れ要請があったことを想定した。
 同院では、DPATの医師や看護師らを中心としたスタッフが空き病床数や人員の配置を確認し、転院32人と一時避難10人の対応が可能と判断した。同院の山岡功一院長は「情報に応じて柔軟に判断できた」とする一方、「一時受け入れと転院の患者を混在させないための対応を徹底する必要がある」と述べた。

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