断水解消後も施設内通水できず 介護になお支障 静岡市清水区

 台風15号で大規模な被害が発生した静岡市清水区の高齢者施設などでは、浸水で電気や水道設備が被害を受けたため断水解消後も施設内に水を送ることができず、不便な介護を余儀なくされている施設がある。断水が長期化する地域も残り、高齢者や在宅介護の支援者からは「今も支援の網の目からこぼれ落ち、水を確保できない高齢者や障害者がいる」と危ぶむ声が上がる。

浸水したベッドなどの清掃に追われる職員ら。館内の水や電気は復旧していない=30日午前、静岡市清水区の「有度の里」
浸水したベッドなどの清掃に追われる職員ら。館内の水や電気は復旧していない=30日午前、静岡市清水区の「有度の里」

 30日午前、同区長崎新田の特別養護老人ホーム「有度の里」では、職員や地域のボランティアが浸水したベッドの清掃や片付け作業に追われていた。3階建ての施設は1階部分が約1メートル浸水し、変電室とボイラー室も被害を受けた。館内の電気は8割ほどでつかず、空調も入らない。すでに断水が解消したエリアに立地するが、館内の水道は使用できず、外の水道からくんだ水や飲料水を職員が運び、約170人の介護を続ける。
 栗田健三所長は「1階の入所者は2、3階に避難し過ごしている状態。一刻も早く通常の環境を取り戻したい」と語る。
 区内には生活用水や飲用水が通っていない地域が残る。「支援を必要としている世帯ほど、SOSを出しにくい」と同区の港南地域包括支援センター職員の福田智一さんは強調する。自力で給水所に行けないという情報を得た高齢者、障害者世帯に水を届けてきたが、自治会や民生委員による情報把握の度合いにはばらつきがあり「断水地域で、まだ水を確保できない世帯もあるのでは」と危機感を募らせる。
 同市清水医師会在宅医療介護相談室の安藤千晶室長は「支援を求められない高齢者は最悪、孤独死する可能性もある。身近に気になる世帯があれば、最寄りの地域包括支援センターに情報を寄せてほしい」と訴えた。

 

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