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地域のシンボル「もぐり橋」流失 袋井・原野谷川 住民落胆「可能な形で復活させてほしい」

 静岡県内に甚大な被害をもたらした台風15号。袋井市では、原野谷川に架かる岡野橋が増水によって流失した。「もぐり橋」の愛称で人々から親しまれ、映画のロケ地にもなった。長年地域を見守ってきた橋を失い、住民の間には喪失感が広がっている。

台風15号により流失した岡野橋の残骸=24日
台風15号により流失した岡野橋の残骸=24日
現存していた頃の岡野橋=2021年、袋井市内(市民提供)
現存していた頃の岡野橋=2021年、袋井市内(市民提供)
台風15号により流失した岡野橋の残骸=24日
現存していた頃の岡野橋=2021年、袋井市内(市民提供)

 「これまでも大雨で漬かることはあったが流されることはなかった。勢いに耐えられなかったのかな」。近くに住む山田元さん(70)は橋の残骸を見てつぶやいた。孫が訪ねてきた時には一緒に渡り、向こう岸の公園へ遊びに行ったという。変わり果てた姿に「この地域の人はもぐり橋と共に育った。寂しいし残念」と肩を落とす。
 橋は幅2メートル、長さ67・6メートル。コンクリート製の歩道橋で、1962年に架設された。1982年には市道に認定され、住民らは買い物や散歩などに利用してきた。「もぐり橋」と呼ばれるのは、水位が上昇すると本体が漬かるため。同市が舞台の映画「明日にかける橋 1989年の想い出」には、走って渡ると願い事がかなう「明日橋」として登場し、鈴木杏さん演じる主人公らが渡るシーンが描かれた。
 現在の橋の基準を満たしていないため、元通りの復旧が困難。それでも住民は再建を求めて声を上げる。地元の愛野自治会連合会の朝比奈馨会長(70)は「われわれにとって生活道路というだけでなく象徴。可能な形で復活させてほしい」と願う。

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