生産、輸送の変革 工場発展 地域と共に【インド戦略、深化へ スズキ進出40年③】

 高い天井から明るい光が差し込み、広々とした空間が広がるインド西部グジャラート州の工場。「スズキで最も進化した工場」を目指して2017年に稼働した。累計生産200万台を達成した工場を8月27日、鈴木修相談役と俊宏社長がコロナ禍を経て約3年ぶりに視察した。従業員はイヤホンを通じて聞こえる質問や指示に、じっと耳を傾けた。

グジャラート工場を視察する鈴木修相談役(右)と俊宏社長=8月27日、インド・グジャラート州ハンサルプール
グジャラート工場を視察する鈴木修相談役(右)と俊宏社長=8月27日、インド・グジャラート州ハンサルプール
2021年に開校した学校=グジャラート州シタプール
2021年に開校した学校=グジャラート州シタプール
完成車輸送の効率を上げるために工場近接地に整備中の鉄道線路=8月27日、グジャラート州ハンサルプール
完成車輸送の効率を上げるために工場近接地に整備中の鉄道線路=8月27日、グジャラート州ハンサルプール
工場に向かう途中の道路では、牛の大群が幹線道路を歩く場面も=8月27日、グジャラート州
工場に向かう途中の道路では、牛の大群が幹線道路を歩く場面も=8月27日、グジャラート州
グジャラート工場を視察する鈴木修相談役(右)と俊宏社長=8月27日、インド・グジャラート州ハンサルプール
2021年に開校した学校=グジャラート州シタプール
完成車輸送の効率を上げるために工場近接地に整備中の鉄道線路=8月27日、グジャラート州ハンサルプール
工場に向かう途中の道路では、牛の大群が幹線道路を歩く場面も=8月27日、グジャラート州

 スズキの100%子会社が運営するグジャラートの生産拠点は3工場まで増設し、人気車種「スイフト」「バレーノ」などを同国市場に送り出す。5年6カ月での累計200万台到達はスズキの生産拠点の中で最も早く、需要の堅調な伸びを物語る。港に近く、アフリカや中南米への輸出モデルの生産でも重要な役割を果たしている。
 プレス、溶接、塗装、組み立ての各ラインを直線的に流れるように配置し、壁側からはサプライヤーの部品を直接搬入する。「なるべくもの(車体、部品)を運ばない」(スズキ幹部)構造と、最新の機器により、生産効率の向上を図る。従業員の日々の気付きから生まれる「改善」提案と実践を繰り返し、スズキのものづくりの根幹「小・少・軽・短・美」を磨き続ける。
 工場では25年に、既存ラインを活用してEV(電気自動車)の生産が始まる予定。カーボンニュートラルや自動車の次世代技術「CASE」への対応に向け、視察を終えた俊宏社長は「設計、生産技術、品質保証、営業が一体となって作り上げていく連携の力がまだまだ足りない。これまでの改善を上回る新しい発想が必要」と意識改革や知恵の結集による一段の進化を促す。広大なインド国内に効率良く完成車を輸送するため、鉄道輸送の活用比率を高める。生産車の保管拠点「モータープール」直近まで線路を引き込む工事も進行中だ。
 グジャラート工場周辺はかつて牛が水を浴び、人家もほとんどなかったが、「雇用が生まれ、まちができた」(俊宏社長)。コロナ禍の21年、CSR(企業の社会的責任)活動の一環で、工場近くに地域初の総合病院と地元や従業員の子供らが通う学校を開設した。住民はこれまで数十キロ離れた病院でしか受けられなかった救急医療や専門医療サービスを受診できるようになり、学校では小学生が日本式の質の高い教育プログラムを受ける。
 スズキは自動車産業の発展と同時に、地域社会との共生という重要な使命も担う。

 <メモ>スズキのインド国内の四輪生産能力は1983年稼働のグルガオン、2006年のマネサール、17年のグジャラートの3拠点で年間225万台。4カ所目の生産拠点として25年に稼働を予定するハリヤナ州カルコダを加え、年250万台に引き上げる。グジャラート工場北側にはEV車載用電池の新工場を整備し、26年の生産開始を予定している。

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