大自在(9月26日)玉鷲が最年長優勝

 急激な円安に歯止めをかけようとした円買い介入が24年ぶりなら、2場所連続の平幕優勝は31年ぶり。大相撲秋場所は、玉鷲が高安を退けて賜杯を抱いた。37歳10カ月の最年長優勝。「鉄人」に大きな拍手が送られた。
 今場所6日目の横綱、大関総崩れは16年ぶり。9日目もそろって黒星を喫した。上位不振の一方、混戦となった優勝争いは、テレビ桟敷の最後列で観戦する筆者も楽しめた。
 本紙のスポーツ面には8日目ごろから負けが少ない力士の一覧が出る。12日目を終えた時点で2敗玉鷲、3敗翔猿、高安、北勝富士、錦富士。鷲、猿、富士と、しこ名の漢字に注目して由来に思いをはせるのも面白い。
 山梨日日新聞社のデジタルサービス「富士山NET」に「富士と力士」と題した記事があった。歴代横綱で富士をしこ名に用いたのは照ノ富士まで6人。ただ、富士を最初にもって来るのは富士錦や富士桜など「山梨県出身力士の専売特許のようなもの」とか。
 向こうを張るわけではないが、今場所は西前頭筆頭の翠富士(焼津市出身)が初めて大関を破るなど、健闘ぶりがたたえられた。東十両3枚目の熱海富士(熱海市出身)は勝ち越し、来場所の新入幕に前進した。
 しこ名は故郷の自然や相撲部屋の伝統、本名などさまざま。明文化された決まりはないが、流行や時代性も反映されるという。富士はむしろ例外か。蝦夷[えぞ]富士(北海道・羊蹄山)、薩摩富士(鹿児島・開聞岳)など「ふるさと富士」は全国にある。郷土力士の「富士」に〝本家〟にふさわしい活躍を期待したい。

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