問われる企業統治 TOKAIHD社長解職1週間 実態解明へ調査

 不適切な経費の使い込みがあったとして、TOKAIホールディングス(HD)が鴇田[ときた]勝彦前社長(77)を解職した問題を受け、経営者による企業の私物化などを防いで健全経営を図る「ガバナンス(企業統治)」が改めて問われている。問題の背景には、強い指導力で業績を飛躍的に伸ばした鴇田氏を周囲が統制できなくなっていたとの指摘もある。電撃解職から1週間。同HDは実態解明に向けた調査を進めている。

鴇田勝彦前社長を電撃解職したTOKAIホールディングスの本社ビル。ガバナンスの改善が求められている=静岡市葵区
鴇田勝彦前社長を電撃解職したTOKAIホールディングスの本社ビル。ガバナンスの改善が求められている=静岡市葵区
TOKAIホールディングスの連結売上高の推移
TOKAIホールディングスの連結売上高の推移
鴇田勝彦前社長を電撃解職したTOKAIホールディングスの本社ビル。ガバナンスの改善が求められている=静岡市葵区
TOKAIホールディングスの連結売上高の推移


 ■私物化
 問題発覚の契機は内部通報。私的な飲食代を複数回、交際費として不適切請求しているとの内容だった。鴇田氏は不適切かどうかの認識が異なるなどと主張したとみられるが、15日の取締役会で即日解職が決まった。同HDによると、不適切な請求額は最大で数千万円になる可能性があるという。22日に外部の弁護士や公認会計士らでつくる特別調査委員会を設置。会社名義で所有する別荘やクルーザーも実質的に占有していたとの見方もある。

 ■好業績
 優良企業が集まる東証最上位「プライム市場」の上場企業の不祥事だけに地域経済界に与えた衝撃は大きかった。県中部の経営者は「思わず『まさか』と口走った。業績好調と聞いていたのに」と驚きを隠さない。別のエネルギー会社の幹部は「上場企業には、企業統治面でも経済界をけん引する責務がある」と疑問を呈す。
 鴇田氏は2005年の社長就任後、ガス事業や情報通信、ケーブルテレビ、水販売などを展開するTOKAIグループの営業力強化を主導。近年はM&A(合併・買収)などを重ね、営業エリアを宮城県から熊本県まで拡大させた。22年3月期の連結経常利益は159億700万円と、4年連続で最高益を計上。同氏は「いずれはグローバルに事業を拡大させる」と強気の姿勢を見せていた。

 ■健全経営
 こうした状況について、企業コンプライアンスに詳しい中央大法科大学院客員教授の大沢恒夫弁護士(68)=静岡市清水区=は「組織が急拡大すると、企業統治の目が行き届きにくくなる」と指摘。特に同HDの場合、経営トップ自身の手腕が好業績と直結していただけに、周囲は鴇田氏に従属的になっていたのではないかとみる。
 電撃解職の伏線として、大沢弁護士は同HD傘下の2社で昨年、従業員2人による計約5億4千万円の着服が発覚した不正問題に目を向ける。「企業統治の欠如はどの企業にも起こりうる。人ごとと考えず、経営者と従業員がともに健全な企業の在り方を常に意識する必要がある」と話す。

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