記者コラム「清流」 国葬の前に優先すべきは

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に詳しいジャーナリストの講演会を取材した。国葬に反対する市民団体の主催。高齢者や中高年層の約250人が会場を埋めた。「丸々税金で行う国葬は、国民に弔意を強制するもの」。主催者のあいさつに、会場は熱を帯びた。
 一方、新型コロナウイルスに感染し亡くなった人の葬儀はあまりに簡素だ。臨終の前も後も、家族は十分に別れを告げることもできずに火葬される。死亡したことを、親族や近隣住民に言えなかった人もいる。ある公職者は「人と人がつながって生きる社会構造の原点がないがしろにされたまま」と嘆く。
 そんな国民の苦しみに目を向けず、改善することもなく、元首相の葬儀は盛大に催す。税金の使い道も優先順位もおかしい。

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