記者コラム「清流」 命吹き込む探求

 明治時代、天竜区二俣町鹿島に建部新八郎という教育者がいた。校長を務めた小学校から、大臣や町長を輩出するなど、名教師として教え子に慕われた。ただ、地元でも長く忘れられた存在だった。
 そんな建部に光を当てた地元住民を取材した。手がかりとなったのは建部を顕彰した漢文の石碑。読み下し文を作り、そこから足かけ2年以上にわたる探求が始まった。
 その執念と行動力には頭が下がった。膨大な資料をひもとき、ゆかりの土地を巡った。墓を探し当て、末裔(まつえい)にもたどり着いた。
 親族の一人に話を聞くと「彼らが先祖をよみがえらせてくれた」と感謝の言葉が。埋もれた人物を調べ続けた先に、新たな命が吹き込まれた。私もそんな取材をしてみたい。そう思わされた。

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