無許可盛り土疑い3人逮捕 富士宮、静岡県条例違反で初
富士宮市内野の山林に無許可で土砂を埋め立て、盛り土をしたとして、富士宮署と県警生活保安課は21日、同市土砂埋め立て等規制条例違反と県盛り土規制条例違反の疑いで、残土処理会社社長の男(55)=伊東市岡=ら残土処分業の男3人を逮捕した。熱海市伊豆山の大規模土石流の発生を受け、7月に施行された県盛り土規制条例違反による摘発は初。
他に逮捕されたのは、ともに同社の下請け業者の男(62)=静岡市清水区八木間町=と男(27)=富士市浅間上町=の両容疑者。2人は社長の男の指示の下、オペレーターなどとして現場で土砂の搬入や盛り土の造成に携わったとされる。
3人の逮捕容疑は2018年4月から22年7月ごろまでの間、富士宮市長や知事の許可を得ずに広さ千平方メートル以上の土地に土砂を埋め、盛り土を造成した疑い。
県警は少なくとも4900平方メートルの山林に1万立方メートル以上の盛り土を確認している。現場には約4年間にわたり、県東部をはじめ山梨県や関東圏から15社以上の業者が建設残土などを搬入していた。1台当たり約1万円の処分費で受け入れ、少なくとも500万円以上を得たとみられる。
関係者によると、市の指導で搬入行為は中断したが、22年6月ごろに再開。7月に入り、市から通報を受けた県が指導警告をした上で中止命令を出したが、搬入が続いたため県条例の違反による初摘発に踏み切った。
社長の男は土地を月額8万円で借りていた。県警は社長の男らが盛り土造成に至った経緯や3人の役割を慎重に調べる。
県盛り土規制条例 盛り土(積み上げた残土)の崩落が被害を拡大させたとされる熱海市伊豆山の大規模土石流を受け、7月1日に施行された。適用対象は面積1千平方メートル以上か土砂量1千立方メートル以上の県内全市町の盛り土。指導権限は市町から県に移った。県による許可制になり、地元説明会の開催や定期的な施工状況の報告なども義務付けた。