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愛犬も熱中症対策万全 静岡県内で病院受診減少、飼い主の意識向上

 近年、熱中症になる犬が減っている。静岡県内の獣医師らによると、空調や水分補給に気を配るなど飼い主の意識が変わり、動物病院を訪れるケースが少なくなっているという。県内のペットショップでも対策グッズの売り上げが好調。県内の獣医師は「9月も暑い日が続く。残暑を迎えても要注意」と強調する。

水を入れたパウチ入りのヤギミルクで愛犬に水分補給を促す戸松寛人さん=8月中旬、清水町内
水を入れたパウチ入りのヤギミルクで愛犬に水分補給を促す戸松寛人さん=8月中旬、清水町内

 「6月中旬からずっとエアコンを入れている」。9月上旬の夕方、沼津市内で犬の散歩をしていた飲食店店員の田中美絵さん(44)は空調のほかにも、散歩の時間を短くしたり、途中で水を飲ませたりと対策に力を入れる。同市の理容師中村英仁さん(69)は新たにミストファンを購入したといい、「(今年は)ばてずに元気」と愛犬の様子を話した。
 ペットショップの売り上げからも飼い主の意識の高さがうかがえる。清水町の「エコドッグ」は、ヤギミルクパウダーをパウチに入れた商品を新開発。水を加えてミルクにすると味がついて飲みやすくなり、ドッグランなどの慣れない環境で緊張して水が飲めない犬の水分補給に一役買っているという。利便性も売りの商品に戸松寛人代表(61)は「販売開始から約2カ月で2千個以上売れた。かつてない売り上げで、こんな商品を待っていたという声もあった」と驚く。
 長泉町の「すぎさわ動物病院」の杉沢浩文院長は「今年はすごく暑かった。飼い主がより気をつけていたのではないか」と指摘。室内飼いや健康管理のために通院する犬が増えたことに加え、コロナ禍で外出頻度が減り、車内で熱中症になるリスクが減少したことも理由に挙げた。同病院では今夏、熱中症の重症例はなかったという。一方で杉沢院長は「出かけるときはこまめな休憩と水分補給、温度管理が大切。留守番をさせるときはエアコンを」と話した。
 (東部総局・山本萌絵佳)

 ■高温多湿に注意
 24時間患者を受け入れる動物病院を御殿場市で運営する一般社団法人「ベテリナリーセンターオブジャパン」の渡辺泰章理事長によると、犬は呼吸で体温調節するため、気温が上昇する春先に自律神経がうまく働かず熱中症を発症しやすいという。気温や湿度が高い時も症状がでやすい。
 発症しやすい犬種はパグやブルドッグなどの短頭種で、いびきをかきやすい犬も注意すべきという。風通しがよく涼しいところで過ごすことや、水分を十分に取ることが予防法として挙げられる。
 過呼吸などの熱中症の症状がみられた場合は水をかけたり、脇やおなかを冷やしたりすることが必要だと指摘。渡辺理事長は「熱中症は進行が早い。すぐに動物病院を受診することも重要」とする。

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