歩いて巡る沼津「蛇松線」跡 明治期敷設の資材運搬用鉄道、沼津港まで3.5キロ 往時に思いはせる

 ぬまづ観光ボランティアガイドはこのほど、明治期に東海道線新設のための資材運搬用として沼津港から敷設された鉄道「蛇松線」の跡地を巡るイベントを開いた。歴史や今も残る面影を紹介し、参加者は地域の発展に一役買った鉄道の往時に思いをはせた。

蛇松線の線路跡が残っている沼津通運倉庫=沼津市
蛇松線の線路跡が残っている沼津通運倉庫=沼津市
蛇松線の線路跡が残っている沼津通運倉庫=沼津市

 沼津市を中心に約50人が参加した。当時、蛇松線が通っていたJR沼津駅南口から沼津港にある魚市場までの3・5キロを2時間かけて歩いた。
 蛇松線跡の史跡16カ所を見学。起点だった沼津通運倉庫付近のレールや蛇松線跡に整備された遊歩道の蛇松緑道を見学し、それぞれで足を止めてガイドから解説を聞いた。参加した山本紀子さん(76)=沼津市=は「蛇松線が通っていた史跡がたくさんあり驚いた」と話した。
 同ボランティアガイドの前田嘉男会長(76)は「コロナ禍で本格的なイベントは3年ぶり。改めて沼津の歴史に興味を持ってもらうきっかけになれば」と述べた。

石垣現存、広場に車輪やレール 記者も参加

 蛇松線跡を巡るイベントで、ぬまづ観光ボランティアガイドのメンバーや参加者とコースを歩いた。
 貨物輸送の主役が列車からトラックに移りつつあった1974年に廃線になるまで使われていた蛇松線。沼津通運倉庫の出入り口に、当時のレールとホームとして利用されていた石垣が現存している。そこから道路を挟んで反対側に蛇松緑道がある。
 緑道の両側には花壇や街灯。しばらく歩いて蛇松白銀歩道橋を越え、さらに緑道を進んで蛇松緑道お祭り広場に。そこからは蛇松広場と沼津港駅跡につながる道に分かれる。
 たどり着いた蛇松広場では、蛇松線で使われていた貨物車の車輪とレール、当時の踏切跡を見ることができた。レール付近には草が伸び、踏切はすっかりさびて廃線後の長い年月を感じさせた。
 蛇松線の歴史が刻まれた史跡があちこちに残され、約50年前に蛇松線が走っていた港町の光景が浮かび上がってくるようだった。

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