信康の自害、通説に疑問 歴史作家梓沢要さんが講演 浜松

 浜松市は10日、歴史作家の梓沢要さん=磐田市出身=を講師に招いた歴史講演会(静岡新聞社・静岡放送後援)を東区の市総合産業展示館で開いた。梓沢さんは「信康の真実 なぜ自害に追い込まれたのか?」と題して講演した。

徳川家康の長男信康について解説した梓沢さん=浜松市東区の市総合産業展示館
徳川家康の長男信康について解説した梓沢さん=浜松市東区の市総合産業展示館

 信康(1559~79年)は徳川家康の長男で、織田信長の長女徳姫と結婚した。通説では、謀反の疑いを持った信長に命じられ、父家康が自害させた悲劇の武将とされる。
 梓沢さんは通説に疑問を投げ掛け、通説の基になった「三河物語」の記述が他の史料では確認できないことなどから「創作が疑われる」と指摘。自負心の強い信康が家康に対して不満を募らせ、武田家とクーデターを企てていた可能性について触れた。その上で「家康にとって嫡男に背かれた事実は不名誉だった。そのため、自害させた理由を暴君信長のせいにしたのではないか」との説を述べた。

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