最期まで安心 地域社会寄与 在宅医療の活動広げる 伊豆保健医療センター総合診療科長/清水啓介氏【本音インタビュー】

 伊豆の国市の伊豆保健医療センターが注力する在宅医療の中心的な役割を担う。地域ケア部や総合診療科の新設など本年度の組織改編にも尽力した。センターが拠点となって周辺市町にも在宅医療の取り組みを広げ、市民が住み慣れた地域で安心して過ごせる社会の実現を目指す。

清水啓介氏
清水啓介氏

 -在宅医療の現状は。
 「昨年度に自分が赴任する前までは医師2人体制だったが、現在は非常勤も含めて7人になり、訪問診療数は右肩上がりになっている。医師がフットワークを軽く訪問することで患者や家族はもちろん、助言を受ける訪問看護師の安心にもつながっている。7月からは在宅医療全体のマネジメントを担当する看護師を配置した。こまめに情報共有をすることで、急な往診にも対応できるようになった。在宅医療の取り組みを知り、人生の最期を過ごす場所として近くに移住した人もいて、地域に密着した活動ができていると感じる」
 -患者や家族の反応は。
 「自宅で安心して過ごせるという意見は誰からも共通して聞かれる。終末期の患者から『家で過ごせて良かった』と言われ、家族からは『常に横にいることで、気持ちの整理につながった』と感謝された。通院が難しく、病状が不安定な人も多い。その患者を自宅で見るのは家族にとっても不安。自分たちがいつでも往診や措置をして、患者も家族も安心して過ごせる」
 -総合診療科の役割は。
 「全身の疾患を心理面や社会背景を踏まえて総合的に診断する。認知度が高まり、患者が増えている。自分の生活を把握してくれる医師がほしいという声のほか、手術、入院、抗がん剤治療など大きな決断の相談をしたいという人もいる。不安を感じる人に寄り添い、気持ちを受け止めるのが大切」
 -今後の方針は。
 「センターの在宅医療の体制は整った。より地域に根差した医療を展開するには、他の医療機関との連係が必要。隣接する函南町と伊豆市それぞれにも在宅医療の取り組みを広め、センターが拠点の役割を担う形にしたい。地元の農産物直売所との協働で管理栄養士が監修したレシピを紹介するなど外部との連係を進めている。地域に根差した人との交流を通じ、安心なまちづくりに貢献できるようになれば」

 しみず・けいすけ 大阪府出身。青森県の八戸市立市民病院と長野県の佐久総合病院での勤務を経て2021年4月に伊豆の国市の伊豆保健医療センターに赴任した。総合診療科の専門医の資格を持つ。30歳。

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