ホテルでリッチに自分磨き カルチャー講座続々【NEXTラボ】

 知識や感性を豊かにする時間を大切にしたくなる季節―。静岡県内のホテルが、個人客や地域住民向けにカルチャー講座を開いている。新型コロナウイルス禍で団体客が減ったことから、個人客に地域の魅力をPRする機会や人々の交流拠点にしようと改修した施設も。受講者にとっては、講座の内容だけでなく、立地や景観を含めて少しぜいたくな自分磨きができると好評だ。

窓から海が見えるスペースで、フラダンスを指導する土屋正子さん(手前)と受講者=8月、東伊豆町の熱川プリンスホテル(東部総局・山川侑哉)
窓から海が見えるスペースで、フラダンスを指導する土屋正子さん(手前)と受講者=8月、東伊豆町の熱川プリンスホテル(東部総局・山川侑哉)
ドライフラワーを使ったキャンドル作り講座=8月、東伊豆町の熱川プリンスホテル(東部総局・山川侑哉)
ドライフラワーを使ったキャンドル作り講座=8月、東伊豆町の熱川プリンスホテル(東部総局・山川侑哉)
最上階の宴会場で体を動かすイベント参加者=6月、静岡市清水区のホテルクエスト清水
最上階の宴会場で体を動かすイベント参加者=6月、静岡市清水区のホテルクエスト清水
子どもたちはナイフとフォークの使い方に四苦八苦するが、徐々に慣れていくという=浜松市中区のオークラアクトシティホテル浜松
子どもたちはナイフとフォークの使い方に四苦八苦するが、徐々に慣れていくという=浜松市中区のオークラアクトシティホテル浜松
窓から海が見えるスペースで、フラダンスを指導する土屋正子さん(手前)と受講者=8月、東伊豆町の熱川プリンスホテル(東部総局・山川侑哉)
ドライフラワーを使ったキャンドル作り講座=8月、東伊豆町の熱川プリンスホテル(東部総局・山川侑哉)
最上階の宴会場で体を動かすイベント参加者=6月、静岡市清水区のホテルクエスト清水
子どもたちはナイフとフォークの使い方に四苦八苦するが、徐々に慣れていくという=浜松市中区のオークラアクトシティホテル浜松


「この地ならでは」提供 @熱川プリンスホテル(東伊豆)

 8月下旬、東伊豆町の熱川プリンスホテル。ロビーを通り抜けると、心地よいハワイアンミュージックが聞こえてきた。
 「これは雨を表します。肘をあまり曲げない方がきれいに見えますよ」。土屋正子さん(32)が、指をひらひらと動かしながら手を斜め上から下ろして見せると、女性3人も同じように手を動かした。
 この場所は、8月にオープンしたマルチスペース「茅舎(BOUSHA)」。以前は宿泊者用のダイニングルームだったが、新型コロナ禍により使われなくなった宴会場を個室風のダイニングに改装したため、空いたこのスペースで、「美と健康」「伊豆の食」「ものづくり」「癒やし」の四つのテーマで、フラダンスなど約20のカルチャー講座を開いている。
 「個人の宿泊客が主となった今、チェックアウトからチェックインまでの間も施設を有効活用して交流人口を増やすべきだと考えた」と嶋田慎一朗社長(53)。カルチャー講座に目を付けた理由を「宿泊客はこの地ならではの体験を求めている。地元の人も、受講が生活の潤いにつながるのでは」と話す。ケーブルテレビやラジオなどを通じて地域住民に広報したことで、受講者を増やしている。
 フラダンス講座に参加する扇ゆかりさん(53)は4年前に都内から熱海市に移住した。フラダンスを習おうと調べていたところ、同ホテルのウェブサイトにたどり着いたという。「海を見ながら学べるなんて最高。講座の開催場所は満足度を左右すると思うからすぐ申し込んだ」と声を弾ませる。リモートワークの合間に車で訪れ、時には熱川の町を散策することも。「各地で温泉が湧き出ていて(住んでいる)熱海とも違う雰囲気を感じ、伊豆地域の新たな魅力を知った。少し遠くても通いたくなる」と語った。
 「講師陣も移住者が多く、この地を気に入って移り住んだ方々のアイデアは参考になる」と嶋田社長。商品やサービスの開発も見込んでいるという。


ヨガやアロマ 宴会場で広々 @ホテルクエスト清水(静岡)

 静岡市清水区のJR清水駅近くに立つホテルクエスト清水は、新型コロナ禍による健康志向の高まりに着目し、利用が減った宴会場で「ヘルスケア」に関連したイベント開催に力を入れている。
 ホテルのレストランで糖尿病を抱える人らも安心して食べられるコースなど健康食を提供していることから、宴会場での講座と食事を組み合わせたイベントを提案。これまでに冷え性対策の運動や食事の情報を発信する団体「ウーマン・ラボ」(同市)の女性向けイベントのほか、アロマやヨガ講座などを開催した。大型モニターを使って、沼津市戸田にある系列ホテルと同時開催することもあった。
 運営する竹屋旅館の竹内佑騎社長(39)は「ホテルの立地や環境が講師や受講者の魅力になっているよう。休暇を兼ねながら仕事するワーケーションの客も増えていて、滞在中のリフレッシュの時間にもなっている」と効果を語る。
 宴会場はコワーキングスペース(共有オフィス)としても開放していて、地域住民がテレワークのために利用することもある。竹内社長は「ホテルは人が集う場所なのに、これまで地域に対してはバリアーがあったと思う。この機会に開かれた施設にしていけたら」と見据えた。


教養、おいしく楽しく @オークラアクトシティホテル浜松

 浜松市中区のオークラアクトシティホテル浜松では毎夏、親子でフランス料理を楽しみながら学べるテーブルマナー教室が人気だ。今年は7、8月に2日間設けたが、希望者が多かったため急きょ1日追加した。
 西洋料理テーブルマナー講師の資格を持つスタッフの西尾記一さん(44)が、ナイフとフォークの歴史に始まり、カトラリーの使い方やナプキンのかけ方、スープを音を立てずに味わう方法などを食事の進行に合わせて指導する。夏休み期間とあって、自由研究のために熱心にノートにメモする子も。西尾さんは「教養として子や孫に身に付けてほしいと思う大人が増えているようだ」と実感を込める。
 メニューは、スモークサーモンで巻いた帆立て貝柱のタルタル、カボチャの冷製ポタージュとコンソメジュレ、牛サーロインのロースト…。小学生には量を減らして提供するが、味付けや食材は大人と同じ。ほとんどの子どもが完食するという。
 修学旅行や企業研修といった団体客向けにも同様のプランを設けている。近年、新型コロナの感染拡大により遠出が難しくなった修学旅行としての申し込みが増加した。西尾さんは「マナーを学ぶことは、技術の習得だけでなく相手を思いやる心を育む」と意義を説明した。

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