自転車、伊豆聖地化へ整備加速 拠点施設開設/10月MTB国際大会

 東京五輪・パラリンピック自転車競技の開催地になった伊豆市で、レガシー(遺産)の継承や自転車の聖地化に向けた取り組みが進んでいる。2日に伊豆箱根鉄道修善寺駅前に自転車観光拠点施設がオープンし、10月には日本サイクルスポーツセンターでマウンテンバイク(MTB)の国際大会が開催される。関係者は「聖地化に向けて自転車が街の風景の一部になれば」と願う。

貸し出す自転車を整備する木村政彦代表=2日、伊豆市
貸し出す自転車を整備する木村政彦代表=2日、伊豆市

 自転車観光拠点施設は同市の一般社団法人イズバウンドが運営する「Crank Base(クランクベース)」。電動アシスト付き自転車やクロスバイクなど約20台を用意し、時間制、1日、1泊2日の3プランで貸し出す。
 市内の旅館宿泊客らを対象にしたオーダーメードツアーの提供も想定。今後、自転車のメンテナンスや関連商品の販売などの事業展開も検討している。同法人の木村政彦代表は「伊豆の住民にとって日常の風景でも、都会に住む人には非日常。日本の原風景を楽しめるような場所を巡る交通手段として活用してほしい」と期待する。
 MTB大会は東京五輪が行われた同センター内のコースを活用して10月28~30日に開催する。大会名は「ジャパン・マウンテンバイク・カップ」で、海外選手も招いた国際自転車競技連盟の公認レース。県や県自転車競技連盟で構成する実行委員会が主催する。
 地元が大会に関わる機会を設けようと、大会ポスターとメダルのデザインは伊豆地域の高校などに依頼した。実行委員を務める県自転車競技連盟の松村友子理事長代行は「初めて自転車競技を見た人は面白さに驚いてくれる。大会とともに静岡、伊豆の魅力を世界に向けてPRできれば」と話した。

 ■伊豆市の購入補助制度 好調
 伊豆市が東京五輪・パラリンピック自転車競技地元開催のレガシー(遺産)事業の一環で実施している自転車購入費の補助制度が好調だ。
 制度は市民を対象に、新車の購入費を上限3万円で半額補助する。制度を始めた昨年度は128件を補助した。本年度も好評で、2日時点で163件の申請があり、昨年度同様に予算を増額補正する方針。
 8月からは東京五輪パラの競技会場や選手村で使われた自転車を公用車として導入し、職員が片道3キロ以内の移動で使用している。市内に自転車整備店を開業する事業者に、工事や工具の費用を上限50万円で半額補助する制度も始める。
 市観光商工課の担当者は「市民に自転車に対して親しみを持ってもらい、聖地化に向けてサイクリストを受け入れる機運を高めたい」と話した。

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