問題ある開発他にも 残存盛り土撤去 住民、一定評価も是正求める 熱海土石流

 熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、静岡県は6日、落ち残り盛り土を撤去する行政代執行の方針を決定し、昨年7月の発災から1年2カ月を経て、伊豆山の復興に向け大きな一歩を踏み出した。ただ、土石流起点の崩落現場周辺には、他にも問題を指摘される開発行為が現存し、住民や関係者から「行政はしっかり対応してほしい」と是正を求める声が上がっている。

土石流起点で崩落した盛り土付近の開発行為(県の資料に加筆、修正)
土石流起点で崩落した盛り土付近の開発行為(県の資料に加筆、修正)

 伊豆山地区連合町内会の当摩達夫会長(76)は「ありがたい」と安堵(あんど)しつつ、「台風が多くなる9月までに少しでも撤去を進めてほしかった」と本音を漏らす。
 落ち残り盛り土以外にも、ずさんな開発行為は確認されている。崩落現場南側の太陽光発電施設(②)や緊急伐採(③)、「第二の盛り土」と呼ばれる土砂投棄(⑦)は違法状態とする見方もある。当摩会長は「地域の安全を確保するために行政には毅然(きぜん)と対応してほしい」と求めた。
 また、市議会の調査特別委員会(百条委員会)に参考人として出席した土木設計エンジニアの清水浩さんは、崩落した盛り土(①)に検証対象を事実上限定した県行政対応検証委員会の対応について「(崩落部の)周辺の開発行為も含めて検証すべきではないか」と問題提起する。
 崩落現場北側には業者が開発を放置して草木で覆われた宅地造成地(④)が広がる。清水さんは別の盛り土が危険な状態で残っていると見ていて「地域住民に周知すべきではないか」と指摘する。
 県の代執行決定を受け、斉藤栄市長は「安全安心の確保、早期の生活再建のため、県の対応に協力するとともに、復旧復興に全力を尽くしていきたい」とコメントしている。
 ※丸カッコは地図上の開発行為の番号
 (社会部・大橋弘典、熱海支局・豊竹喬)

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