新型コロナ感染、全数把握 静岡県は当面継続 高リスク者「対象外」懸念

 新型コロナウイルス感染者全員について個人情報を含めて発生を届け出る「全数把握」の方法を自治体判断で見直せるとした政府方針に関し、県は現行案は重症化リスクのある人の一部も発生届の対象から外れるなど懸念が多いことから、当面は従来の運用を継続する。29日までの取材で分かった。

全数把握の見直し
全数把握の見直し
新型コロナ感染者・届け出の扱い
新型コロナ感染者・届け出の扱い
全数把握の見直し
新型コロナ感染者・届け出の扱い

 見直しは9月中旬にも全国一律で行い、移行前でも都道府県が独自に見直しの実施を前倒しできる。
 政府は都道府県への25日の通知で、見直し後の発生届の対象を①65歳以上②入院が必要③重症化リスクがあり、かつコロナ治療薬や酸素の投与が必要④妊婦-の4類型に限定するとした。県はこれに従った場合、発生届の提出量は従来の80~85%減少し、医療機関の事務負担は大幅に軽減されると見込む。
 ただ、③で対象外となる、重症化リスクはあるが薬や酸素の投与の必要がない人は、過去に合併症で亡くなるケースがあった。中等症以上になるリスクが接種者より高いとされるワクチン未接種者、治療薬の投与年齢外の小児も対象外。中部の診療所医師は「ただでさえ外来対応で手いっぱいの中、診断の負担と責任が格段に増す」と話す。
 行政サービスの提供面でも状況は様変わりする。発生届の対象外となる人は保健所が個人情報を把握しないたため、プッシュ型の支援ができない。当該の感染者が申し出て、健康観察や食糧支援、療養証明書の発行などを受けることになる。
 県健康福祉部の後藤幹生参事は「(発生届の)対象外の基準は医学的に説明できるものであってほしい。また、対象外となる人は感染拡大防止のため依然、外出自粛が必要なので、(自粛を)守るよう強調すべき」と指摘。全国一律の見直し方針については「(感染症法上の2類相当から)5類に落とすステップダウンの1段目なのか、単なる緊急避難措置なのかが分かりづらい」とし、政府に今後の道筋を明確に示すよう求めた。

 <メモ>全数把握の見直し 全ての陽性者で義務づけられている発生届の提出を高齢者などに限定し、医療機関の事務負担を軽減する。届け出は対象外の人についても年代別件数で報告するため、「全数の把握」は継続される。政府は見直しを都道府県知事の判断でできるようにするとし、さらに全国一律に移行する考えを段階的に表明した。特定の医療機関を選んで定期的に感染者数の報告を求める「定点調査」への長期的な切り替えも検討されている。

あなたの静岡新聞 アプリ