大自在(8月28日)イニシャル「G」

 帰宅すると、玄関の壁に、黒光りし、素早く走る、あの“厄介者”が。数日後には家人も遭遇するに至り、即、ドラッグストアで退治のための「団子」を買った。
 嫌われる昆虫の代表格だろう。名前を口にするのもはばかられると、最近は頭文字のみで「G」と呼ばれることも。110番通報された例もある。高温多湿の今が、活動が盛んになる時期。食器までかじり尽くしてしまうので、江戸の人たちは「御器[ごき]かぶり」と呼び、語源となったそうだ。
 だが、日本に生息する50種類以上のうち、家の中などで不愉快な思いをさせるのは数種類だけ。残りは森の中で枯れ葉など有機物を分解し、生態系の中で重要な役割を果たしている。
 そんな貢献や魅力の発信にこだわっているのが磐田市竜洋昆虫自然観察公園。国内外の多彩な生体を紹介する人気の企画展では“推しゴキ”に投票する「GKB48総選挙」も開く。若手職員の柳沢静磨さんは、参加する研究チームが新種を次々に発見し、カリスマ的存在だ。
 米の大学は優れた身体能力に目をつけ、大型種に感覚器を刺激する受信機付きチップを装着し“操縦”することに成功した。小型カメラなどを付け、倒壊した建物などで生存者を捜す技術にも応用が期待できるという。
 地球上に出現したのは、約3億年前。現生人類の約20万年前に比べ「大先輩」だ。この間、ほとんど姿を変えず、当初から完成度が高かったとみられる。実害以上に、存在自体に恐怖を抱くのは、人間が本能的に主導権を脅かされると思っているからかもしれない。

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