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熱海土石流 静岡大、独自研究を冊子化 裁判資料も想定

 静岡大は、昨年7月に発生した熱海市伊豆山の大規模土石流に関する調査研究論文を特集した冊子を発行した。防災総合センターの教授陣を中心にした独自の調査や分析で、崩落した盛り土(残土処分場)の造成地に元から不安定な土砂が堆積していたことなどを明らかにした。北村晃寿センター長は「発生原因を調べている県の検証委員会や裁判で資料として生かしてもらえれば」と話す。

崩落した盛り土付近を調べる千木良雅弘京都大名誉教授=3月、熱海市伊豆山(静岡大提供)
崩落した盛り土付近を調べる千木良雅弘京都大名誉教授=3月、熱海市伊豆山(静岡大提供)

 北村センター長らは土石流が発生した昨年7月3日に現地入りして現場の試料を入手。これまで計12回にわたって現地に足を運び、逢初(あいぞめ)川上流域で崩落した盛り土(残土処分場)部分でも分析に使う土砂を採取した。
 その結果、上流側にある岩戸山が約1万年以上前から崩壊を繰り返して堆積した地層の上に土砂が盛られたことや、神奈川県西部の中村川下流域などに分布する水を含みやすい土砂が運び込まれた可能性が高いなどとする研究成果を発表した。
 同大防災総合センターには、静岡大以外に東京大や京都大などの別大学の教授陣も所属。今回の研究はそのネットワークを生かして専門的な分析が実現したという。
 冊子は県や県警、県の検証委員会委員など関係機関に配布した。各論文は別の研究者が査読して掲載した。ウェブでも閲覧できる。
 北村センター長は「盛り土の内部構造が分かり、全体像も見えるようになった」と研究を振り返り、「専門の研究者が自らデータを集め、純粋に科学的に調べることに意味がある。裁判資料としての活用も想定している」と意義を強調した。

熱海土石流に関する主な研究成果


 ▼逢初(あいぞめ)川上流域の盛り土造成地(残土処分場)には元々、過去の土石流で不安定な土砂が堆積。北側の鳴沢川流域から水が流入した熱海土石流に関する主な研究成果
 ▼搬入された残土の一部は神奈川県西部(中村川下流域)の土砂の成分と一致した
 ▼盛り土(積み上げた残土)は異なる性質の土砂が何層にも重なる構造だったため、崩れやすかった
 ▼崩落した土砂は水を含みやすい性質だった

 

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