静岡県内一茶生産、1万トン超 気候恵まれるも経営なお厳しく 3年ぶり、前年比8%増

 農林水産省は16日、2022年の一番茶生産量統計を発表した。静岡県の荒茶(製品加工前の茶)生産量は前年比8・4%増の1万500トンで、3年ぶりに1万トンの大台を超えた。ただ、茶価低迷や肥料、重油などの高騰で茶農家の負担は増加し、厳しい経営環境が続いている。

一番荒茶生産量の推移(主産5府県)
一番荒茶生産量の推移(主産5府県)


 主要産地5府県(静岡、鹿児島、三重、京都、埼玉)の荒茶生産量は7・1%増の2万2600トンだった。本県のシェアは0・6ポイント上昇の46・4%で全国1位を保った。2位鹿児島の生産量は2・3%増の8140トン、シェアは1・6ポイント下降の36・0%で、本県との差は広がった。
 農水省は全国的に3~5月の収穫期間の気候が安定し、目立った凍霜害もなかったことで生産量が伸びたとしている。本県も茶畑10アール当たりの生葉収量が14・6%増の423キロと伸長した。一方、降雨による摘み遅れに起因した品質低下もみられたという。
 JA静岡経済連の推計では、県内産一番茶の平均単価(荒茶ベース)は前年比8・0%下降の1920円。製茶に使う燃油代などの営農コストが上昇し、県内各地の製茶工場間では収益の差が目立った。二番茶も安値相場を引き継ぐ格好となったため、生産意欲が高まらず、収穫量は前年より少なかったとみられる。
 県お茶振興課の増田浩章課長は「収益を安定化させるには、販売先をあらかじめ確保しておく必要がある。売り先のニーズに合わせた生産構造の転換や、販路開拓を支援していく」と話す。
 (経済部・平野慧)

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