西伊豆の介護予防実験 住民が体操指導 行政、社協の下支えが鍵【解説・主張しずおか】

 高齢者の健康増進に向け、西伊豆町と町社会福祉協議会が近く、介護予防を目的とした「シルバーリハビリ体操」を活用した実証実験を始める。住民ボランティアが高齢者に体操を指導して自立を後押しする取り組みで、介護保険制度への適用も目指す。今後は継続性や成果につながる体制の構築が求められる。

実証実験に向け、理学療法士から専門知識を学ぶ指導士の住民ら=8月上旬、西伊豆町田子
実証実験に向け、理学療法士から専門知識を学ぶ指導士の住民ら=8月上旬、西伊豆町田子

 シルバーリハビリ体操は運動療法を基に日常生活の動きを訓練することができる。92種類のメニューがあり、寝たきりの人も取り組めるのが特徴。発祥地の茨城県や東北地方の自治体を中心に導入が進んでいる。
 西伊豆町は2020年2月にボランティアを募り、地域の実践者となる「3級指導士」の養成講座を始めた。指定のカリキュラムに準じ、本年度までに約50人が資格を得た。21年3月には指導士会が発足し、各地区で教室が開かれている。
 実証実験では主に要支援1、2の高齢者を指導の対象とした。介護認定を受けていない高齢者を指導するこれまでの教室に比べ、指導士には一層の責任感が問われる。6月からは勉強会を開き、指導士が地域の理学療法士からリハビリなどに関する専門的な知識を学ぶ機会も設けた。
 指導士会の藤井定男会長(78)は「同じ人がつきっきりで教えられる訳ではない。指導する高齢者の特徴や性格などを広く共有しなければならない」と話す。こうした情報共有の仕組みづくりは町や社協がフォローし、指導士がやりがいを持って活動に専念できる環境整備が欠かせない。
 同町によると、介護保険制度の適用については、ボランティアを主体とする事業「通所型サービスB」に位置付けたい考え。実証実験を通じて事業が定着すれば、支援の受け皿が広がるだけでなく、財政の負担の軽減にもつながる。
 県理学療法士会もこれまで、町の事業に協力してきた。同会地域包括ケアシステム推進部の安間稔泰部長(43)は「住民の手で高齢者の自立を支えるモデルになり得る」と期待する。一方で「指導の際に高齢者の症状が悪化する危険があるため、無理のない範囲で体を動かしてもらうことが重要だ」と指摘した。
 町は来年度以降、サービスの本格化を見据える。ただ、その先の継続を考えれば、指導士の育成や確保は喫緊課題となる。住民主体の取り組みを行政や社協がしっかりと下支えする体制が整うかどうかが定着の鍵を握る。

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