川勝知事、流域10市町の首長と意見交換 取水抑制案など議論【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題や南アルプス環境保全問題を巡り、川勝平太知事と大井川流域10市町の首長らは10日、意見交換会を県庁で開いた。JR東海がトンネル湧水の県外流出対策として提示した東京電力田代ダム取水抑制案や、静岡県がリニアの建設促進期成同盟会に加盟した狙いなどをテーマに意見を交わした。

リニア工事を巡る問題について協議する川勝平太知事と大井川流域市町の首長ら=10日午前、県庁
リニア工事を巡る問題について協議する川勝平太知事と大井川流域市町の首長ら=10日午前、県庁

 会議は2020年6月以来3回目。市町側がリニア工事を巡る最近の課題について県の考えや今後の方針を聞きたいと開催を要望した。焼津、藤枝、袋井、御前崎、菊川、吉田、川根本町、島田の8市町は首長が、掛川と牧之原の2市は副市長が参加し、冒頭のあいさつを除いて非公開で行われた。
 川勝知事はあいさつで田代ダム案について「実現性は確認できていない」などと指摘し、リニアの早期開業と大井川水系の環境保全の両立に向けて「引き続き県と市町、利水者が一体となった取り組みを進めたい」と呼び掛けた。市町側を代表して染谷絹代島田市長は「期成同盟会に加盟した知事の考えを伺いたい」などと述べた。
 JR東海のリニア工事を巡っては、国土交通省専門家会議や県の有識者会議で工事の影響を回避、低減するための環境保全策や、県が求める「トンネル湧水の全量戻し」の方策などを協議している。一方で、県はリニア沿線都府県で構成する期成同盟会に7月に加盟し、リニア品川―名古屋間の27年開通を目指す立場を表明している。
(政治部・尾原崇也)

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