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熱海土石流 警戒区域、2023年夏解除へ 市が被災者説明会

 熱海市は7日、同市伊豆山の大規模土石流の被災者向け説明会を市役所で開いた。斉藤栄市長は、立ち入りが規制されている警戒区域について「来年の夏ごろには解除できる」との見通しを示し、みなし仮設住宅などの家賃補助は「被災者が恒久的な住まいでの生活再建に進める状況になるまで支援する」と明言した。土石流発生から1年1カ月余り。避難生活が続いている市民にようやく生活再建の道筋が示された。

警戒区域の解除時期や被災者の生活再建支援策が示された説明会=7日、熱海市役所
警戒区域の解除時期や被災者の生活再建支援策が示された説明会=7日、熱海市役所

 警戒区域内の住民60人が参加し、国、県、市の担当者が復旧工事のスケジュールなどを説明した。警戒区域の解除は、国が建設する新砂防ダムの完成と土石流の起点に残る不安定な盛り土の撤去が前提。県は前土地所有者の「新幹線ビルディング」(神奈川県小田原市)に不安定土砂の撤去を求める措置命令を出している。県の担当者は9月5日までに同社が応じない場合、10月中旬に行政代執行に着手すると説明した。
 斉藤市長は工事が予定通り進んだ場合、来夏ごろの区域解除が可能とした。ただ、解除後も河川、道路の復旧や宅地造成の進み具合により住民の戻れる時期が異なるため「段階的に戻れる区域を知らせる」と述べた。市は宅地整備を2025年秋ごろまでに完了し、同年度中の分譲、住宅再建の開始を目指す。
 みなし仮設住宅などの家賃は2年間免除されているが、市はその後も個別の状況に応じて家賃補助を継続し、引っ越しなどに要する費用も支援する。被災者向けの公営住宅やコミュニティーセンターの建設、避難路の整備といった被災地の社会基盤整備も進める。
 説明会に参加した被災者の1人で、警戒区域未来の会の中島秀人代表(53)は「伊豆山に戻れるまでに3年以上かかるのは長く感じる。高齢者のためにもこれ以上は延ばさないでほしい」と話した。説明会は9日まで行われる。

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