夏の山頂、3年ぶり本格観測 剣が峰旧測候所【静岡新聞社 富士山臨時支局】

 富士山の剣が峰にある旧富士山測候所を気象庁から借り受けるなどし、さまざまな専門家の研究活動などを支援する認定NPO法人「富士山測候所を活用する会」が今年、山頂における本格的な夏期観測を3年ぶりに展開している。過去最長となる9月6日までの67日間、公募に応じた機関や企業のメンバーが標高日本一の施設で観測、データ収集に当たっている。

旧富士山測候所に設置された観測機器などを確認する鴨川仁事務局長。コロナ下、活動支援を再開している=3日午前、富士山頂の剣が峰(写真部・小糸恵介)
旧富士山測候所に設置された観測機器などを確認する鴨川仁事務局長。コロナ下、活動支援を再開している=3日午前、富士山頂の剣が峰(写真部・小糸恵介)

 新型コロナウイルス禍を受け、2020年は夏期観測を中止。測候所の当面の運営費用が確保できなくなり、クラウドファンディングで補った。同会の鴨川仁事務局長(県立大グローバル地域センター特任准教授)は「夏場に施設利用料が全く入らなければ組織は立ち行かない。つぶれてしまうかもしれないと思った」と窮状を振り返り、多くの支援に感謝した。
 昨年はコロナ禍の中でも山頂の夏期観測を再開したが、過去の施設利用者らに対象を絞り込み、プロジェクト数はわずか14にとどまった。今年は新規の参加も受け付け、地球科学、通信、大気化学などさまざまな分野の約25のプロジェクトが、高所の立地特性を生かした取り組みを進めている。
 新規参加の青山シビルエンジニヤリング(本社・東京都港区)は7月、測候所と吉田口、御殿場口の各登山道に置いた計6カ所の観測装置を使い、気象データ8項目を10分ごとに提供するウェブサイト「『イマフジ』。今の富士山の気象を知る」を始めた。担当する気象コンサルティング部の小柳津由依さんは測候所について「ここでしか得られないデータばかり。宝の山のようだ」と測候所での調査意義を語る。
 ただ、測候所でも7月下旬、スタッフの新型コロナ陽性を確認。6日間にわたって研究者らが滞在できなくなったものの、8月3日から活動を再開した。鴨川事務局長は「コロナ禍により、従来の活動と比べて手間は何倍もかかっているが、さまざまな観測データを絶やさずに採る意義は大きい」とした上で、「今夏は初めて9月初旬まで活動できる。最後まで安全で有意義な取り組みにしたい」と意気込んだ。
 (ニュースセンター・松岡雷太)

 認定NPO法人富士山測候所を活用する会 旧富士山測候所を利用して大気化学の研究を行っていたグループが設立した「富士山高所科学研究会」が中心となり、2005年にスタートした。04年に無人化された測候所を借り受け、07年から夏期観測活動を続ける。19年7月には参加者が延べ5千人に達した。

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