緑茶の海外販路、開拓進む 22年上半期「輸出」過去最高
緑茶の海外販路開拓が進んでいる。財務省貿易統計によると、2022年上半期(1~6月)の全国緑茶輸出量は前年同期比6.0%増の3202トン、輸出額は7.1%増の103億1906万円と過去最高を更新した。北米向けが金額の半分以上を占める一方、中間層の拡大や健康志向を背景に、東南アジアなど新興国への販売が伸長している。

輸出先は米国が51億6398万円(前年同期比4・8%増)と最多。台湾9億4850万円(2・5%増)、カナダ8億1190万円(97・5%増)が続いた。健康食品やカフェ店などで使われる「粉末状のもの」が輸出全体の約7割を占めた。
前年と比べて東南アジアからの引き合いが目立った。タイへの輸出額は3億5467万円(79・8%増)、マレーシア2億3510万円(20・6%増)、インドネシア1億5497万円(42・3%増)と躍進。北米やヨーロッパ圏と比べて1キロ当たりの平均単価は半額程度だが、景気復調や食文化の多様化を追い風に、受注数量が膨らんでいる。
成長市場への輸出に挑戦する動きもある。抹茶や煎茶の輸出に取り組む製茶問屋の小栗農園(牧之原市)は21年、本社工場でイスラム教の戒律「ハラール」の認証を取得。お茶にイチゴやミカンなどの香りを加えたフレーバーティーを、マレーシアをはじめとするイスラム圏に輸出する。小栗久智社長は「個性がアピールできる商品の輸出を進める」と語る。
緑茶の輸出は下半期も堅調が見込まれ、22年通年は21年実績に続いて200億円を上回る期待がかかる。一方で輸送運賃の高止まりやロシアのウクライナ侵攻に伴う国際情勢悪化は不安材料。円安が追い風との見方もあるが、日本茶輸出組合の谷本宏太郎副理事長は「取引の安定性の面から考えると、為替の急激な変動は好ましくない面がある」と話す。
(経済部・平野慧)