コロナで困窮 生活費貸付金の返済免除 静岡県内で1億円超 自立支援に課題

 新型コロナウイルス禍で収入が減った世帯に無利子で生活費を特例で貸し付ける国の制度で、貸付金の返済免除申請書の発送が始まって約1カ月がたった。申請手続きによって返済免除が決まった県内の貸付金は既に1億円を超え、制度利用者の困窮ぶりを浮き彫りにしている。返済されない貸付金は税金で負担することになり「実質的な給付」との見方もある中、困窮世帯への自立支援が課題になっている。

7月に発送された特例貸し付けの返済免除申請書。手続きすれば、住民税非課税世帯は返済が免除される
7月に発送された特例貸し付けの返済免除申請書。手続きすれば、住民税非課税世帯は返済が免除される

 特例貸し付けは、借り入れの時期や資金の種類に応じて順次返済時期が訪れ、その都度、返済免除を申請する。今回手続きが始まったのは緊急小口資金と総合支援資金(初回)の2種類。前年の年収が一定額以下の住民税非課税世帯は、郵送された申請書に住民票や証明書などを添付して返信すれば、返済が全額免除される。
 県内で手続き業務を担う県社会福祉協議会は7月上旬、約3万5千通の申請書を発送した。審査の結果、同月28日時点で緊急小口資金は5353万円(335件)、総合支援資金は8643万円(183件)の計1億3996万円分の返済免除が決まった。ただ、申請受付は9月末まで。今後さらに増えると見込まれている。
 県社協によると、申請者は非正規労働者やひとり親が多い。特例貸し付けは貸付時の審査を簡素化して迅速に資金調達できる利点があるが、制度利用者が多いため、現場の社協担当者は本来の生活資金貸付制度のように、個々の困窮者に対応した相談支援業務に時間を割けていない。
 県社協の松田智生活支援部長は「(困窮者と)継続的な関わりを持ちたいが、人数が多いので、どこまで対応できるか」と打ち明ける。全国社会福祉協議会は社協の相談支援体制の拡充などを国に求めている。
 (社会部・大橋弘典)

 生活資金の特例貸し付け 上限20万円の緊急小口資金と上限60万円を3回借りられる総合支援資金を使えば最大200万円を無利子、無担保で受けられる。コロナ禍の県内貸付総額は今年3月時点で123億4千万円に上り、リーマン・ショック時の4・2倍に達した。審査の簡素化によって、生活困窮者と言えないような人が資金を借りる不適正な事例も確認されている。

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