遠州織物の魅力発信 「武襯衣」発売10年 販売減課題、戦略再考も

 静岡県と県繊維協会が西部の地場産品「遠州織物」を活用して開発、ブランド化した夏用衣類「武襯衣(むしゃ)」が発売10年を迎えた。綿や麻本来の風合いを生かした上質な質感など職人の高い生産技術の発信に貢献したとの見方がある一方、販売枚数は顕著な減少傾向。ブランドの継続には運営や販売戦略の再考が求められる。

発売から10年を迎えた「武襯衣」の男性用シャツ=浜松市中区
発売から10年を迎えた「武襯衣」の男性用シャツ=浜松市中区

 男性夏用ウエアとして始動した武襯衣は、「サムライ」をコンセプトに扇子を納める専用ポケット(男性用限定)が付く。女性向けワンピースやシャツも登場し、若者イベント「TGC(東京ガールズコレクション)しずおか2019」への衣装提供を機に、女性作家らとのコラボレーションも活発化した。ラインアップはバッグや小物にも広がった。
 製造は県繊維協会が認定した17社が担い、商品は百貨店や関係事業者の店舗やネットで取り扱う。ただ、シャツやワンピースなど衣類の販売実績は13年度の1146点をピークに減少し、18年度は383点、直近の21年度は276点まで落ち込んだ。19年度はロゴの刷新や専用ホームページ開設で挽回を図ったが、コロナ禍で新作の製作やファッションショー開催が見送られるなど苦戦が続いている。クールビズ時の県職員らの購入が多く、一般消費者への訴求力に乏しい点も課題だ。
 遠州織物工業協同組合の松尾耕作事務局長は武襯衣の試みを「遠州織物の知名度が向上し、裾野も広がった」と評価する。その上で「収益性ある事業への転換に向けて生産者サイドがもっと主体的にかかわり、市場ニーズに沿ったデザインや販促の変革などが必要では」と指摘した。
 (浜松総局・山本雅子)

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