静岡人インタビュー「この人」 高橋康晴さん 10年間、桐陽高生と被災地との交流支える 

 沼津市の桐陽高副教頭。2011年の東日本大震災の翌年から被災地支援を始め、震災や福島第1原発事故で被災した福島県広野町と同校生徒との交流活動に取り組んできた。保健体育教諭。高校時代に全国高校ラグビー大会で準優勝した経験を持つ。東京都出身。58歳。

高橋康晴さん
高橋康晴さん

 -被災地支援を始めたきっかけは。
 「在校生の祖母が宮城県女川町で被災し、生徒会やラグビー部の有志が被災地でボランティア活動に参加したことがきっかけ。14年からは普通コースの1年生が毎年被災地を訪れ活動に取り組むようになった」
 -広野町とのつながりは。
「当時ボランティア先として訪問していたいわき市の仮設住宅に暮らす人が広野町の住民だった。住民が町に戻れるようになってからも自然と交流が続いた。活動の一環で広野町に植樹した河津桜は150本にも上り、今では公園として地域の癒やしの場になっていると聞く。町民から被災体験をうかがうといった交流も続けていきたい」
 -活動で感じたことは。
 「10年間被災地に足を運んできたが復興はまだ道半ばと感じる。広野町は開発が進み道路や建物などの再興が進んでいるが、近隣には原発の影響でまだ自宅に立ち入れない人もいる。除染やインフラ整備を含め本当の復興にはまだ時間がかかる」
 -今後の交流は。
 「震災直後、地元の中高生が幼い子をおんぶして避難したり、手を差し伸べたりしてくれて助かったと被災者から聞いた。生徒たちには災害時、自分の命をまず守り、安全が確認できた上で、一人でも多く周りの人を助けるという意識を持ってほしい。そして訪れた被災地のことを忘れずにいてほしい」
 (東部総局・水野紗希)

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