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⚾静清エース久保「悔しい」力尽きる 高校野球静岡大会決勝

 自らの打球が遊ゴロに終わりゲームセットになると、一塁を駆け抜けた静清の先発久保は手で顔を覆って泣き崩れた。仲間に抱えられて最後に整列に加わった。「甲子園に行けずに悔しい」。開口一番絞り出した言葉に、チームにとって17年ぶりの聖地に最も近づいた実感がこもった。

静清―日大三島 5回途中で笹ケ瀬(10)にマウンドを譲る静清の先発久保(写真部・宮崎隆男)
静清―日大三島 5回途中で笹ケ瀬(10)にマウンドを譲る静清の先発久保(写真部・宮崎隆男)

 準々決勝後、右肘に違和感が出てテーピングを巻き、球の出どころを下げてしのいだ。この日も自慢の直球は120キロ台止まり。変化球も切れを欠き、立ち上がりに4番松永にスライダーを狙い打たれた。さらに二回にも下位打線に長打を浴びて2失点目。52球を投げ五回途中でマウンドを左腕笹ケ瀬に譲ったが、相手の勢いを止められなかった。
 社会人野球ヤマハで指導経験がある69歳の大ベテラン、長田監督が就任して4年目。個人の特長を把握した指揮官の教えに、全国から集まった選手が応えて自覚が生まれた。今春の県大会で4強入りし、伝統の堅守にまとまりが加わり、夏の快進撃につなげた。
 久保も指揮官の指導で大きく成長した一人。生まれつき右膝に故障を抱え、8月に手術して大学でも野球を続けるつもりだ。「来年こそ甲子園に行ってくれるはず」。後輩たちに思いを託し、手負いのエースが戦い抜いた夏が終わった。

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