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静銀トップ交代 持ち株会社効果「最大限に」 職務の違い強調

 10月の持ち株会社「しずおかフィナンシャルグループ(FG)」の発足を約2カ月後に控えた28日、静岡銀行のトップ交代会見に臨んだ柴田久頭取(58)と八木稔副頭取(59)は「役割分担」のフレーズを繰り返し、FG社長と銀行頭取の職務の違いを強調した。ただ“良きパートナー”としての関係性は変わらず、会見では「持ち株会社への移行効果を最大限に高めるため」と共通した理由を語った。

静岡銀行頭取の交代について会見する柴田久氏(右)と八木稔氏=28日午後、静岡市葵区
静岡銀行頭取の交代について会見する柴田久氏(右)と八木稔氏=28日午後、静岡市葵区

 既に持ち株会社化している全国の地銀の先行例は、持ち株会社社長が銀行頭取を引き続き兼務するのが大半で、それぞれを分けているケースは少ない。柴田氏は「持ち株会社のあるべき姿を検討する中で、FG社長と銀行頭取では意思決定する際の視点や価値基準が異なると感じるようになった。役割を分けた方が良いとの判断に至った」と説明。銀行に依存しがちだった他のグループ企業の自立性や収益性を高めるには、自身が頭取を退いて一線を画し、グループ全体を俯瞰(ふかん)する立場になる必要があったとした。
 八木氏は「地域経済あってこそのFGであり、地域金融だ。私たちには持続可能な地域をつくる社会的責任がある」と柴田氏をフォロー。息の合った関係性をのぞかせ、FGが今後成長するため、自身は銀行業務を安定的に運営して下支えする決意を語った。
 (経済部・薮崎拓也)

 企業価値を高める 柴田氏・八木氏 会見一問一答
 会見での柴田久頭取(58)と八木稔副頭取(59)の主なやりとりは次の通り。
 ―FG社長と銀行頭取を分けた理由は。
 柴田氏 「持ち株会社化で先行する他の地銀と比べ、静岡銀行はグループ会社が多い。銀行本体はもちろん、他の事業も成長を促すには、私自身はFG社長に専念した方が良いと考えた。グループ全体の経営資源をどう配分したら最大の効果を上げられるか考慮し、企業価値を高めるのが私の役割と思っている」
 ―どのような銀行経営を目指すか。
 八木氏 「地域からの厚い信頼が静岡銀の最大の基盤であることに変わりはない。今後もお客さまに頼られる存在であり続けることが重要だ。まずは(FGの理念と同様に)地域課題の解決に取り組み、その上で収益も上げていく」
 ―互いの評価は。
 柴田氏 「持ち株会社化の構想は八木氏とともに練り上げてきた。信頼の置ける人物であり、地域を支える使命感を持って頭取を務めてほしい」
 八木氏 「柴田氏は入行時期が1年早い先輩で、若手の頃からずっと相談に乗ってもらってきた。信頼感は非常に大きい」

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