森林法「開発規制できず」 林野庁、静岡県の主張否定

 熱海市伊豆山の大規模土石流の砂防規制に関する行政対応を巡り、林野庁は27日までに、森林法に基づき面積1ヘクタール以下の場合に提出される伐採届では、残土投棄や盛り土造成などの開発行為を規制できないとする見解を静岡新聞社の取材に対して明らかにした。静岡県の「森林法で規制されていたため、砂防法で規制する必要がなかった」とする主張が否定された形になる。
 県行政対応検証委員会(委員長・青島伸雄弁護士)で林野庁の見解は説明されておらず、一部の関係法令に検証を重点化した報告書の内容に影響を与えた可能性がある。
 逢初川上流域は森林法に基づく「5条森林」という規制区域で、1ヘクタール以下の開発をする場合に伐採届を市に提出する必要があるが、林野庁の担当者は「森林の状況を把握するためのもので、開発行為を止める効力はない。規制はかからない」と説明している。
 また、他法令を所管する部署との情報共有に関しては「森林法でそこまで求められていない」と答えた。
 県は26日の記者会見で林野庁に見解を確認しないまま、1ヘクタール以下の開発について「森林法で規制または管理されていた」と砂防規制の必要性はないと主張。森林法を扱う県の部署も関与せず、砂防法を所管する部署が独断で発表していた。
 検証委の会合では、上流全体の規制を進めるとした方針を説明せず、盛り土は規制区域外にあったと強調していた。森林法と砂防法の関係は議論されず、林野庁の見解は紹介されなかった。

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