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科学研究 資金支援募る 静岡県環境衛生科学研が初の試み

 静岡県環境衛生科学研究所(藤枝市)が、がんや光化学スモッグについての研究資金を募るクラウドファンディング(CF)を実施している。二つの開発チームが手掛ける研究活動を加速するため、県民から広く資金を募ろうと初の試みに踏み切った。8月18日まで。

小田祐一主査(中央)率いる光化学スモッグ関連の研究チーム
小田祐一主査(中央)率いる光化学スモッグ関連の研究チーム
がん関連の研究を進める安藤隆幸主査=25日、藤枝市の県環境衛生科学研究所
がん関連の研究を進める安藤隆幸主査=25日、藤枝市の県環境衛生科学研究所
小田祐一主査(中央)率いる光化学スモッグ関連の研究チーム
がん関連の研究を進める安藤隆幸主査=25日、藤枝市の県環境衛生科学研究所

 CFを実施するのは、がん細胞のDNA修復を抑える化合物と、光化学スモッグを予測する人工知能(AI)を研究する2チーム。学術研究に特化したCFサイト「アカデミスト」で資金を募っている。目標金額はどちらも128万3千円に設定した。
 がん関連の研究チームは、がん細胞のDNAを修復する働きを持つ酵素「Rad52」に着目。新しい抗がん剤の開発を目標に、ファルマバレーセンター(長泉町)所有の化合物を使って、この酵素の働きを抑える効果を検証している。
 より精密な測定には、検証作業に使用する試薬などが必要だという。チームリーダーの安藤隆幸主査(52)は「測定の頻度を高めれば高めるほど、良い化合物が見つかる確率は高まる」と支援を求める。
 光化学スモッグ関連の研究チームは、過去40年にわたる県の大気汚染の観測データをはじめ、気温や気圧、日照時間などの気象データを読み込ませ、AIに光化学スモッグの原因となる光化学オキシダント濃度の上昇を予測させるシステムの構築を目指す。
 募った資金はデータを学習させるための高性能パソコンの購入に充てる。チームリーダーを務める小田祐一主査(38)は「光化学スモッグが予測できれば、屋外に出ないよう呼び掛けるなど健康被害を事前に防ぐことが可能になる」とシステムの効果を語る。

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