避難所生活「着た服」どうする? コインランドリー活用の動き

 長期化する避難所生活でのニーズが高いものの、支援の手が回りにくいのが洗濯だ。業務用洗濯機メーカーのTOSEI(東京都)は、LPガス容器のくず化処理業の大静テクノ(長泉町)と連携し、災害発生時に洗濯乾燥機をはじめ、電気、ガス、飲料水などのライフラインを地域住民に無料開放するコインランドリー「災害対策ランドリー」の普及に力を入れている。

災害発生時に無料開放するコインランドリーを運営する大静テクノの白砂伸之社長=7月中旬、長泉町の「Fuwari Honjyuku本宿店」
災害発生時に無料開放するコインランドリーを運営する大静テクノの白砂伸之社長=7月中旬、長泉町の「Fuwari Honjyuku本宿店」
洗濯機や乾燥機、発電機などを載せて避難所を巡回したTOSEIのトラック=2011年4月、宮城県多賀城市(提供写真)
洗濯機や乾燥機、発電機などを載せて避難所を巡回したTOSEIのトラック=2011年4月、宮城県多賀城市(提供写真)
災害発生時に無料開放するコインランドリーを運営する大静テクノの白砂伸之社長=7月中旬、長泉町の「Fuwari Honjyuku本宿店」
洗濯機や乾燥機、発電機などを載せて避難所を巡回したTOSEIのトラック=2011年4月、宮城県多賀城市(提供写真)

 きっかけは東日本大震災発生時、TOSEI静岡事業所(伊豆の国市)から、宮城県多賀城市の避難所に洗濯乾燥機を持ち込むボランティアに取り組んだことだった。発生1カ月後の約2週間、洗濯機と乾燥機、発電機を載せたトラックで市内の避難所を巡回し、被災者の大量の衣類などを洗濯した。
 現地では洗濯機をはじめ多くの家電製品が水没し、避難生活が長期化。停電や断水も続き、衣類を洗濯するニーズは高かったが、行き届かないのが実態だった。現地に足を運んだ塚本広二執行役員は「1日当たり9時間フル稼働しても、25家族分の洗濯が限界。朝から整理券を求める人が殺到した」と振り返る。
 この経験から、近年TOSEIが推進しているのが災害対策ランドリーだ。LPガス容器をくず化する際に生じる残ガスを、地域貢献のために有効活用しようと、コインランドリー運営への参入を決めた大静テクノと連携。災害対応店舗の目印となるステッカーを作成するなど規格化を進めている。
 大静テクノが長泉町で運営する「Fuwari Honjyuku本宿店」では、災害時の断水と停電を想定し、水道水をためる4トンの貯水槽とLPガスによる自家発電機を設置。災害時には洗濯乾燥機を無料開放するだけでなく、スマートフォンの充電や飲料水、トイレ、シャワーを提供し、カセットこんろなどで炊き出しにも活用できるという。
 大静テクノは昨秋、町と災害時の連携協定を結んだ。白砂伸之社長は「LPガスは停電時にも発電できるのが強み。ガス空調も稼働できるので、夏の災害時には涼みに来るだけでも気軽に利用してほしい」と説明する。
 今後は災害対策ランドリーを県内各市町に増やす方針。TOSEIの塚本執行役員は「洗濯乾燥機の運び込みによる支援は、現地でライフラインが整っていることが大前提。水や発電機を備えた店舗を増やし、各地域で災害発生時も使い慣れたコインランドリーで支援できるようにしたい」と語った。
 

3.11契機に実感 「自治体との連携 不可欠」 

 被災地での洗濯支援普及が進まない理由の一つに、洗濯乾燥機設置のハードルの高さが挙げられる。TOSEIは東日本大震災の発生直後、被災地の各自治体に機器の無償提供を申し込んだが、インフラが壊滅状態のためほとんどの自治体に断られたという。
 塚本広二執行役員は、洗濯機や乾燥機の設置には工事や給排水が必須のため、自治体との連携は不可欠だと指摘。「多賀城市への支援が実現したのは、伊豆の国市が災害時相互応援協定を締結していたから」と振り返った。
 震災後、同社が洗濯支援に加えて力を入れ始めたのが、衣類などの備蓄支援だ。水害を想定し、同社製の真空包装機による備蓄品の真空パック化を推奨している。塚本執行役員は「避難所では毛布や布団の備蓄はあっても、衣類、紙おむつ、生理用品などは足りておらず、ぬれると使い物にならない。圧縮すれば水害から守るだけでなく大量の備蓄品の保管場所も確保できる」と話した。

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